「グーグル解体」米司法省の真の思惑を読み解く AI新時代に向けた競争環境整備が狙いか?

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1月24日、アメリカ司法省がGoogleに対する反トラスト法での提訴を発表。記者会見でのジョナサン・カンター米国司法省反トラスト法次官補(右から2番目)、メリック・ガーランド米国司法長官(左から2番目)とヴァニタ・グプタ米国司法長官補佐(右端)(写真:ブルームバーグ)

アメリカ・アルファベット傘下のグーグルが1月24日、独占禁止法(反トラスト法)違反で司法省及び8つの州から提訴された。この提訴で司法省は同社からネット広告部門を切り離すよう求めている。

この提訴そのものに驚きはない。司法省とグーグルの対立は、何も現在に始まったことではないからだ。

しかし今回こそは本気で事業分割を狙っているようだ。なぜなら、グーグル支配の源泉である検索サービスに、大きな変革期が訪れようとしているからだ。

司法省が同社を提訴するのは2度目

司法省が同社を提訴するのは、2020年10月に続いて2度目のこと。グーグルがインターネット検索・広告市場での独占を維持・拡大するために、反競争的な手段を用いてきたと指摘し、調査を進めてきた。今回は司法省に加えて8つの州も提訴に名を連ね、新たな指摘も踏まえたうえで、より強く分割を求めている。

アメリカのインターネット広告市場は3000億ドル規模とされているが、調査会社インサイダー・インテリジェンスによると、2022年の広告売上高に占めるメタとアルファベットの合計シェアは前年比2.5ポイント減の48.4%と下落傾向にある。

アマゾンやマイクロソフト、アップルとの競争が進んでいる証とも見られるが、一方でインターネット検索や検索履歴などと連動するウェブページ、サービス内での広告市場は約657億ドル(2023年見込み)の26.5%をグーグルが、系列のユーチューブが2.9%を占めている。

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