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過労死した31歳記者の教訓が活かされないNHK 調査報告書も作成されぬまま2度目の過労死

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同じ職場で2度目の過労死が起こったNHK。職員の勤務時間管理を厳格化した結果、管理職にシワ寄せも。

過労死を受けた説明会の案内。問題は産業医面接の低受診率なのか(記者撮影)

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「こんな説明会を開いている場合ではない」「産業医面接の受診促進よりも、過労死の経緯をしっかり説明すべきではないのか」

2022年9月、NHKはオンラインで「協会における健康確保施策」に関する説明会を開催した。終盤、質疑応答の時間になると、職員からは厳しい指摘が相次いだ。

この説明会は、首都圏放送センター(現、首都圏局)で都庁クラブのキャップを務めていた男性(当時45)が2019年10月に死去し、2022年8月に労災認定されたことを受けて開催されたものだ。亡くなる前に男性は長時間労働をしており、過労死だった。

だが、説明会に出席した複数の職員によれば、過労死の経緯について詳細な説明はなかった。一定以上の長時間労働をした職員に対して勧奨される産業医面接指導の受診率の低さが指摘され、受診を促すのが主な内容だったという。

過労死は同じ職場で起きた

ある職員は怒りをたたえてこう語る。「結局、NHKにとって職員の過労死はどこまでもひとごとなんですよ」。というのも、NHKで過労死が起きたのは初めてではないからだ。2013年にも佐戸未和記者(当時31)が亡くなった。しかも都庁クラブという同じ職場で、だ。佐戸さんの死をなぜ教訓にできなかったのか。

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