地方創生は大平元首相の田園都市国家に学べ 民主党の玉木議員、「旧来型政策」を斬る

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「石破大臣は『従来の取り組みの延長線上にはない、次元の異なる大胆な政策』と言いましたが、実際には地方創生関連予算のうち85%が前年度からの継続事業だった」と語る玉木雄一郎衆議院議員(撮影:吉野純治)
地方再生、地方創生は安倍内閣の目玉政策のひとつだ。昨年9月の内閣改造で、石破茂前自民党幹事長が地方創生担当相に起用され、12月の衆院選では政権公約で「地方が主役の真の地方創生を」とうたい、2015年度の地方創生関連予算では7225億円を計上した。社会保障の充実に係るものを含めると、予算規模は約1.4兆円にも上っている。
ではその中身はどうなのか。行政レビューシートを使って予算案の内容をチェックした民主党の玉木雄一郎衆院議員がこう述べる。「石破大臣は『従来の取り組みの延長線上にはない、次元の異なる大胆な政策』と言いましたが、実際には地方創生関連予算のうち85%が前年度からの継続事業だったのです」。
要するに「従来の延長線上にはない」も「異次元」も、虚構にすぎないというわけだ。「結局は知恵がないのです。いつも“上から目線”で、現場を見ていないのが原因です。そのような“お上意識”では、真の地方創生は叶いません」。玉木氏はこう断言する。
ではどうすれば真の地方創生は叶うのだろうか。財務省出身で予算を読み込むスキルには定評のある玉木氏に、現状の予算案の問題点と、「あるべき政策」を語ってもらった。
(聞き手:ジャーナリスト・安積明子)

国のなすべきこと=「余計なことをしないこと」

国がまずなすべきことは、余計なことをしないこと。すなわち放っておくことです。そうすれば、地方に智恵が生まれます。権限が移譲されると、責任を自覚するようになるのです。そうなると地方に意識改革は必ず生まれますよ。それを国が阻んではいけません。

農業についても、これまで偏見がありすぎました。前近代的な体質を残したダメ産業で、後継者がいないことばかり強調されますが、野菜や施設園芸などで都会から移住して取り組み、成功している例はいくらでもありますよ。

そもそも何をもって豊かだとするのかというのは、個人の価値判断です。それを国が干渉すべきではありません。さらに人口減少時代を迎えようとする今、国の富を全体のGDPの増減で評価するのも適切ではありません。国民ひとりひとりが「自分らしさ」を実現し、各自が望む幸せを追求できる環境を作っていくことこそ、地方創生のあるべき姿だと私は思います。

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