「なまり節ラー油」は、どのように生まれたか 高校生が動けば、地域活性化が動き始める

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気仙沼の高校生達が発案した、「なまり節ラー油」

地方創生の動きが加速する中で、若者の地域離れは依然として深刻な問題となっています。その一方で、地域の高校生が地元を盛り上げようとする動きも出てきています。高校生たちは大人を巻き込み地域活性化の波を起せるか。本稿では、高校生ビジネスプラン・グランプリの入賞校や、起業家教育による高校生の地域おこしの例を紹介します。

若者を地域に呼び込め

岡山県倉敷市の児島は繊維産業のまち。明治時代から紡績工場が立地し、織物、学生服、ジーンズなどの繊維産業が栄えてきました。しかし、1960年代後半からは、工場の移転や海外の繊維製品におされた結果、繊維産地として活気は減退しています。その中で、高齢化と若者の地域離れは深刻な問題となっています。

それでも、現在、全国の7割を生産する学生服や、国産ジーンズ発祥の地のプライドをかけた高品質ジーンズを軸とする産業の踏ん張りと、瀬戸内観光の分野で地域活性化の努力がなされています。

そんな児島に若者を呼び込もうという試みが、1月に開催された「高校生ビジネスプラン・グランプリ」最終審査会で審査員特別賞を受賞した、倉敷鷲羽高校の「つなぐハウス」です。

このプランは、漁師まちの古民家や海岸沿いの休眠保養施設を活用した長期滞在型シェアハウス「つなぐハウス」を運営し、高級ジーンズや新事業に挑戦する地場産業でのインターンシップ経験を提供しようとするもの。瀬戸内の温暖な気候や豊かな食、伝統技能の体験などをアピールしつつ、都会の学生など若者をターゲットとしています。シェアハウスには、入居者相互が交流を深められ、地域の人々との接点が増えるような間取の工夫がなされ、日々の暮らしや職業体験を通じて、地元での就職を促そうという計画です。

このプランのきっかけは、1年前に遡ります。入賞した高校生グループが実施した地域の再発見バスツアー。このツアー企画しながら、ジーンズ製造、地酒、旧跡などを回り、改めて誇るべき職人や観光名所を確認しました。そして、商工会議所の「こじまつむぐファーム」(地元で綿、藍を育て究極のオリジナルジーンズを作る試み)など地域おこしプロジェクトに真摯に取り組む大人に出会ったことで、プランへの想いが固まったそうです。

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