中部電力、この時期に社長交代の理由とは? 東電アライアンスなど具体化へ加速

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会見で水野社長は「いろんな課題があったが、次の成長につなげる布石を打つことができた。今後はそれを具体的に実行する段階で、新しいリーダーが会社を引っ張るのにふさわしいタイミングとなった」と、この時期でのトップ交代の理由を語った。

昨年末ごろから三田会長と来期の体制を話し合う中で勝野副社長の昇格構想が持ち上がり、最終的に水野社長が決断したのは「1カ月ほど前の2月下旬ごろ」だったという。

水野社長より1年早い1977年に入社、工務部畑を歩み、2013年から副社長兼経営戦略本部長として「まさに社長の右腕」(三田会長)となっていた勝野副社長は「話があったときは大変驚き、自分でいいのかと迷ったが、少しでも役に立てればと1週間後に引き受ける返事をした。エネルギー需要を取り巻く環境が変わる中で、電力改革への対応や東電とのアライアンスをはじめとする成長戦略の実現に着実に努力したい」と抱負を述べた。

これまでの路線踏襲を強調

浜岡原発については「原子力発電そのものは日本のエネルギー供給にとって重要な電源で、活用することは必要。その前提として安全性向上をしっかりと取り組みたい」と、これまでの路線踏襲を強調した。

東電アライアンスについて、水野社長は「新会社設立に向け、詰めの段階にある」とした上で、「今回の社長交代の影響はまったくない」と言い切る。内外には唐突に映る名古屋の人事は、東京までの線路を周到に敷いた上でのゴーサインだったようだ。

関口 威人 ジャーナリスト

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せきぐち たけと / Taketo Sekiguchi

中日新聞記者を経て2008年からフリー。名古屋を拠点に地方の目線で環境、防災、科学技術などの諸問題を追い掛けるジャーナリスト。1973年横浜市生まれ、早稲田大学大学院理工学研究科修了。

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