東電と中電が包括提携、互譲精神の落とし穴

競争力の向上を図るが、懸念材料もある

10月7日に会見を行った東京電力の廣瀬社長(右)と中部電力の水野社長

東京電力と中部電力が10月7日、燃料調達から火力発電所の新設・建て替えまでを一体的に進める共同出資会社を今年度内に設立することで、基本合意した。新合弁会社は折半出資で「対等・互譲の精神」の下で運営。液化天然ガス(LNG)調達量では、両社合算で年間4000万トン近くと日本全体の4割強を占め、世界最大の韓国ガス公社にほぼ並ぶ。

東電の廣瀬直己社長は「提携を通じた交渉力向上で、年間約3兆円の燃料費の2割削減を目指し、収益を原資に福島の責任を果たしたい」と語った。同社は合弁会社からの自社分の配当金を福島原子力発電所事故の賠償に充てる。中電の水野明久社長は、「域外での電力販売や海外事業の拡大には規模も必要。規模の経済を活用し、競争力ある料金を目指す」と述べた。

両社にポジティブな提携

1月に政府から認定を受けた再建計画の中で、東電は包括提携を盛り込み、中電や関西電力、東京ガス、大阪ガス、JXホールディングスと交渉。結局、LNG調達量で自社に次ぐ2位の中電を選んだ。両社とも原発再稼働が難しく、電力完全自由化を控え、燃料費圧縮を通じた競争力改善が最重要課題だった。

みずほ証券の寺澤聡子アナリストは「再建計画通りで東電債権者の金融機関にも安心材料。調整事項が多い他業界と組むより、大手電力同士が組んで最初のくさびを打つ意味でもプラス」とみる。ムーディーズ・ジャパンで公益企業を担当する廣瀬和貞アナリストは、燃料調達での交渉力向上に加え、老朽火力の建て替えによる東電の競争力向上や、首都圏での中電の販売拡大という点で、「両社にポジティブ」と評価する。

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