だからあの人はゴルフがなかなか上達しない あふれかえるレッスンの理論、方法論

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日本プロゴルフ協会には30年前から「基本ゴルフ教本」というものがある。ティーチングプロになるにはこれを丸暗記しなければ、試験に合格しない。内容は当時、スイングがきれいだと言われた100人のプロゴルファーのスイングを分析して、その平均値からつくられたというから「偏りがない」というのが売りだ。

一般ゴルファーも日本プロゴルフ協会に問い合わせれば購入できて、1冊2484円(税込)。このPGAメソッドをPGAゴルフアカデミーで「学んだ」「学び直した」ティーチングプロによって全国のゴルファーに伝えていこうとしていくワケだ。

レッスン界のパイオニアに倣えるか

日本のレッスンのパイオニア的存在が、先に日本プロゴルフ殿堂入りした陳清波氏。1960年代に「近代ゴルフ」を著し、世の中のゴルファーに絶大な支持を受けた。ゴルフをかじったことがある方ならご存知だろうが、まだレッスンという形でゴルフ技術の基本が確立されていなかった時代にアイアンショットで「ダウンブロー」という言葉を生み出し、今も定着している。

本人は「そんな英語はないんだけど、イメージとして作っちゃった」と笑っているが、このために当時のゴルフ場は、ダウンブローで打とうとするゴルファーで芝が相当削られたという。当時のゴルファーは迷わず「ダウンブロー」をやり、たぶん相当数の人たちがうまくいったのだろう。今では「基本」になっている。

現在のゴルフ理論氾濫状態の中で、残念ながら「はやりもの」はあっても、陳氏の技術論のように50年以上定着すると思われるものはあまり見かけない。PGAゴルフアカデミーの教えが「基礎」として、ゴルファーに「一発」で受け入れられるかどうか、正直、やってみないとわからない。

そう言っている筆者といえば、ゴルフを始めた直後にレッスン受けたことはあるが、しばらくご無沙汰している。ツアープロゴルファーのレッスンを新聞紙上で何度か書いてきたので、耳だけはツアープロ並み。それがうまくならない原因だと、内心では言い訳している。

赤坂 厚 スポーツライター

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あかさか あつし / Atsushi Akasaka

1982年日刊スポーツ新聞社に入社し、同年からゴルフを担当。AON全盛期、岡本綾子のアメリカ女子ツアーなどを取材。カルガリー冬季五輪、プロ野球巨人、バルセロナ五輪、大相撲などを担当後、社会部でオウム事件などを取材。文化社会部、スポーツ部、東北支社でデスク、2012年に同新聞社を退社。著書に『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(中央公論新社)。

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