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久夛良木流「妄想力を思い出させる教育」の全容 異分子として現場に入り、育成を「発火」させる

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学者、文化人、そして経営者。世界と日本の知性は、未来をどう展望するのか。「2023年大予測」特集のインタビューシリーズから抜粋。

自ら教壇に立つ「久夛良木ゼミ」にはどんな思いを込めるのか(撮影:ヒラオカスタジオ)

特集「2023大予測|スペシャルインタビュー」の他の記事を読む

ウクライナ、気候変動、インフレ……。混迷を極める世界はどこへ向かうのか。12月19日発売の『週刊東洋経済』12月24-31日号では「2023年大予測」を特集(アマゾンでの購入はこちら)。世界と日本の政治・経済から、産業・業界、スポーツ・エンタメまで108のテーマについて、今後の展開とベスト・ワーストシナリオを徹底解説する。この記事は本特集内にも収録しています。

2023年4月に開学した近畿大学情報学部。学部長を務めるのは、「プレステ(プレイステーション)の父」として知られる久夛良木健氏だ。「教育そのもののあり方が、子どもたちの想像力や妄想力をそいでいるのでは」と話す真意とは。

学生たちが変わり始めた

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――自ら教壇に立つ「久夛良木ゼミ」はどのような内容ですか。

Web3、メタバース、自動運転など、年間12のテーマを設定し、その領域でどんな技術が提唱されていて、今どこまで来ているか、近未来はどこまで行きそうか、というのをまず1週目で私から話す。その翌週に、この技術でどんなことをしてみたいかなど、学生に意見を言わせる。その組み合わせで行っている。

目的は、想像力や妄想力を“思い出させる”こと。子どものころは誰でも好奇心の塊だし、妄想力があったはず。そこで、最新テクノロジーのテーマを基に、妄想しやすそうなものを扱っている。目下世界で起こっていることを、具体的事例を含め、ライブ感を共有しながら学ぶことを重視している。

疑問があればその場で私に聞くのもいいけど、本来は自分で考えて自分で調べないといけない。このゼミはそれを行えるようにする訓練でもある。まだ世界に答えがない疑問だってある。だったら自分でこうつくろうか、みたいに考えられるようになってほしい。

――当初から計画されていたゼミではないそうですね。

(大学側から)どうしても他にはない情報学部をつくりたい、一緒にやってくださいと依頼される中で、自分なりに伝えたいことがいっぱいあるので、イノベーションを軸にゼミをやることになった。最初は隔週だったけど、今は毎週行っている。

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