気鋭のベンチャー社長が「自動運転」に描く夢 自動車メーカーと対等な関係を築けるか
それ以来、ずっと自律移動にフォーカスしている。その技術の応用先の一つが自動車。2009年に「RoboCar」という商標を申請して、実車の10分の1サイズの「RoboCar 1/10」を発売した。
そこからどんどん売れるようになって、自動車や部品メーカーの販路ができた。2012年からはトヨタのプリウスを改造して「RoboCar HV」を販売している。
――SLAM技術の強みは?
自動車を運転するとき、人間は認知・判断・操作を行っている。操作の部分はすでに自動車メーカーがやっていて、ZMPは認知・判断のパートを手掛けている。
認知の部分では、人間は運転するとき「ここに障害物がある」「信号がある」といったことを目で見て判断しているので、人の目の性能を超えることをゴールにして、カメラを活用している。目として利用するセンサーはソニーのものを使っている。
その次の判断の部分は、人工知能を使っている。このソフトウエアを最大限機能させるためのハードウエアを、インテルと資本提携して開発している。SLAMでは、人工知能を利用して周りを見ながらカメラ、場合によってはレーザーを使ってセンシングしながら相対的に自分の位置を確認しながら地図を作っていく。
自動運転技術で何をするかが重要
――グーグルもSLAMを使って自動運転車を作っています。
彼らとはスタンスが違うと思っている。僕らは自動運転技術を開発して、自動車メーカーや部品メーカーに売っている。自動車メーカーと密な関係を持ちながら、最終的には完成車の中に入れていきたい。
ただし、最終的に重要なのは、これを使って何をするか。用途については今、渋滞の解消や交通事故撲滅など、いろいろなアイデアが出されている。僕は視点を変えて、高齢者や子ども、障害者など、自分で運転できない人を運ぶニーズがあるのではないかと考えている。
具体的には「ロボットタクシー」という構想を持っていて、2年ほど前から政府に訴えてきた。今年1月からは「近未来技術実証特区検討会」が開かれており、その中の「自動運転技術」の会合に呼ばれた。僕のプレゼンに共感してくれる人も多く、委員の小泉進次郎・内閣府政務官も「これは応援していきましょう」と言ってくださった。
世界的には、運転手のいない運転は禁止されている。日本でも道路交通法70条で同様のことが定められているが、先行して法律を見直そうというチャレンジが始まるかどうか、というところだ。
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