発達障害の人に「がんばれ」言ってはいけないワケ 大切なのは「特性への理解」と仕組みづくり

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話し言葉以外の、表情、声の調子、仕草などが発するメッセージのことをメタメッセージといいますが、発達障害の人はこれらを読み取るのが苦手なことがあります。そのため、言葉の意味と本当の気持ちが異なる言い回しは、真意を理解しづらいのです。

特性の程度にもよりますが、本人は言葉の裏が読めていないと自覚していないことがあります。「それは普通、こういう意味でしょ」と説明しても、そもそも“普通”がどういうことなのか、わかっていないことも少なくありません。

発達障害の人に対しては、言いたいことや伝えたいことは、意味通りの言葉でストレートに伝えることが大切です。皮肉や嫌味、あるいは社交辞令の類も、同じ理由で伝わりづらいことがあります。

どうして片付けられないの?

ADHDのJさん(23歳・女性)は片付けが苦手。デスク周りは物であふれ、毎日のように探し物をしています。時々注意され、突発的に片付けに目覚めるのですが、しばらくすると元通り。

このような片付け下手は、ADHDに非常によく見られる特性です。注意散漫なため、出したものをほったらかして別のものに気を取られてしまったり、つい資料や雑誌を読みふけってしまったり、空間認識能力が弱く、スペースを有効活用できなかったりすることもあります。

ASDの特性も併発している場合は、優先順位をつけるのが苦手なため、不要なものでも捨てられず、ため込んでしまうこともあります。「よく平気だね」と周りは思ってしまいますが、気が散りやすいADHDの人にとっては、整頓された空間のほうが本来は心地がいいはずなのです。

単に「片付けろ」と言っても、ADHDの人はどこから手を付けていいかわかりません。とりあえず必要なものをまとめて1カ所に置くところから始めてみましょう。それから、“今必要なもの”“とりあえず取っておくもの”というふうにざっくり分類し、それぞれの置き場を決めていきます。そして、明らかな不用品は必ず処分させるのです。

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