九州に負けじと動く東北、半導体の振興で再挑戦 好機を逃すまいと企業や教育機関が連携を強化

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東北大学の国際集積エレクトロニクス研究開発センターの外観
東北大学の国際集積エレクトロニクス研究開発センター。半導体の試作ができるクリーンルームがあり、企業などに開放されている(写真:東北大学国際集積エレクトロニクス研究開発センター)

シリコンロード──。かつて東北自動車道につけられた呼称だ。道沿いに半導体工場が立ち並ぶことに由来する。

以前ほどではないとはいえ、半導体は現在においても東北の重要産業だ。全国の製造品出荷額に占める東北の割合は約6%だが、半導体関連産業に限れば、全国出荷額の約17%を占める。国が半導体産業の強化に乗り出した今、好機を逃すまいと東北の企業や教育機関は連携を強めている。

東北の企業や自治体、教育機関が集まり、2022年6月に発足した「東北半導体・エレクトロニクスデザイン研究会」。3次元NAND型フラッシュメモリーの開発者である東北大学の遠藤哲郎教授が中心となって、関係者に参加を呼びかけた。

研究会には、東京エレクトロンやソニーグループ、キオクシアといった半導体関連大手の東北子会社、大学などの教育機関が名を連ね、9月末時点で64の団体が参加している。

交流促進の場が求められる2つの理由

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東北というくくりで半導体業界を束ねるような会合は、これまで存在しなかった。だが、研究会のような交流促進の場が求められるようになったのには理由がある。

1つはサプライチェーンの変化だ。

以前は大企業が自社グループ内で半導体を製造していたが、傘下企業や工場の整理・淘汰が進み、半導体業界全体で水平分業が進んだ。結果、自社グループ外の企業とも部品や製造工程を融通する必要が生じ、他社との協業の重要性が増した。

もう1つは各社共通の悩みである人材不足だ。

これは単に人手が足りないという話ではない。研究会の主な活動目的は、地域に定着する半導体関連人材の育成にある。すでに、東北大学を中心に産学連携での研究や技術者の教育が始まっている。

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