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岸田首相に必要なのは安倍政治からの脱却だ 旧統一教会問題に向き合い負の遺産の払拭を

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安倍政権時代のような力強さが出せない岸田政権。必要なのは安倍政治の模倣ではなく、脱却だ。

会見を前にマスクを外す岸田首相
旧統一教会問題に正面から向き合い、負の遺産を払拭できるか(10月4日)(写真:毎日新聞社/アフロ)

9月27日、安倍晋三元首相の国葬が終わった。式そのものは粛々と進み、一般弔問客の長い列ができるなど、生前の安倍氏を彷彿とさせる場であった。

しかしながら、旧統一教会と自民党との癒着ぶりが明らかになるにつれ、その焦点ではないかと目される安倍氏の国葬には日に日に反対者が増えていた。各紙の世論調査は50%以上が反対という結果でそろった。そのうえでの国葬の催しであるため、会場の雰囲気とは別に、開催までの政権の対応には不信感が増した。結果として、内閣不支持率が支持率を逆転するという結果が出たのである。

この問題は、安倍氏が殺害されたという衝撃的事件の収拾という観点から見ると、危機管理の失敗と捉えるべきである。確かに国外からの安倍氏への評価は高かったが、殺害の経緯が旧統一教会との関わりを背景としていたことが明らかになった時点で、どの程度それが安倍氏自身さらには党にとってダメージになるかを岸田文雄首相周辺は十分に考えるべきだった。また国葬という選択肢は一度宣言してしまえば撤回が利かない。熟慮のない決断は、危機管理ができていないのと同義である。

その後、国葬実施までの対応も、国会を開催せず、法的根拠について説得力に欠ける理由を繰り返すのみで、テレビ出演や各紙単独インタビューなど、マスコミで積極的に主張をしない首相の姿は印象が悪かった。

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