安倍政権の農協大改革は、羊頭狗肉である

JA全中の監査権限を温存してしまった

(撮影:尾形文繁)

安倍晋三首相が進める農協改革について、影響力の強い農業圧力団体であるJA全中(全国農業協同組合中央会)と、大筋で合意がまとまった。首相は、これにより農業改革に道が開けると主張している。

しかし、首相が譲歩したことにより、その内容は大幅に後退した。真の意味で全中の力を弱めることこそが必要で、真の農業改革には農地使用法を大幅に改めるなどの、追加的措置が必須だ。安倍政権はこのような肝心の段階に踏み込んでいない、と改革論者たちは述べている。

全中はJA傘下の700の農協に対する監査権限を一手に握っているが、「改革」だと胸を張るに値するものになるかは、何よりも、この権限を全中から引きはがせるかにかかっている。この監査権限は、全中が傘下農協を支配下に置くための、最も有力な手段だといわれている。

新設の監査法人が監査機能

ところが、全中の萬歳章会長が2月12日に日本外国特派員協会(FCCJ)で公言したように、安倍首相は、監査部門を全中本体から分離させ、全中が組織外に新たに作る監査法人に、これまで全中自身が行っていたのと同様の監査機能を持たせることで合意した。

民間の監査法人ではなく、全中が新たに作る監査法人を利用するよう、地方の農協の多くに圧力がかかるだろう。JAグループの営農販売部門を担うJA全農は、肥料の価格が他の業者より30%も高いといわれているにもかかわらず、70%の市場占有率を維持している。

安倍政権が主張するもう1つの大きな改革は、全中の法的地位を、特別民間法人から、経団連など他の業界圧力団体と同じ一般社団法人へと変更することだ。しかし全中は、都道府県農協の活動を調整する法的権限を保持している。そしてその都道府県農協は、特別民間法人の法的地位を維持したままだ。

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