社外取締役義務化で「出世コース」が変わる 6月導入の新規則で企業のガバナンス強化
収益力向上を追及するコーポレートガバナンス(企業統治)を上場企業に定着させる、コーポレートガバナンスコードの策定がいよいよゴールを迎える。金融庁が設置して議論を続けてきた有識者会合は3月5日に終了。東証はすでに昨2014年に固まった最終案に基づいて上場規則の改訂作業をほぼ完了しており、2015年6月の導入に向けた最終作業を残すだけとなっている。
コーポレートガバナンスコードの策定は、OECD(経済協力開発機構)が策定しているコーポレートガバナンスコードに基づいて、各国が独自の制度を反映させつつ、作り上げてきた。先進国では米国以外がすでに同コードを導入し、上場企業の経営の指針に据えている。
1000人の独立社外取締役が必要に
今回、最終決定された日本版コーポレートガバナンスのポイントは、複数の独立社外取締役の選任、中長期の経営計画の合理的な開示、政策投資株式(持ち合い株)に関する合理的な説明と議決権行使の基準の明確化などだ。
同コードの導入が6月となったのは、上場企業の大多数である3月決算期企業の株主総会を終えたタイミングが意識されたため。また、東証は対象を東証第1、2部の上場企業とした。マザーズなど新興市場企業の場合、同コードの対応負担が過大になりかねないという判断からだ。
東証のデータ(2014年7月時点)によると、東証1、2部上場企業2359社のうち、独立社外取締役を選任している企業数は1745社を数える。しかし、このうち、2名以上の独立社外取締役を擁している企業数は531社と全体の3割に満たない。今後、同コードの要請に応えるためには、全体の7割以上の企業が新たに独立社外取締役に就く人材を確保しなければならない。
新規上場する企業まで含めて考えると、単純計算で1000人もの人材の確保が必要となる。現実には1人で複数の企業の独立社外取締役に就くと考えても、全体で数百人の人材確保が求められそうだ。
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