韓国で「姦通罪」が廃止された裏事情 あの有名女優も有罪判決を受けた過去
62年ぶりに、韓国で一つの罪名が消えた。それは、「姦通罪」だ。
韓国の憲法裁判所は2015年2月26日、姦通罪を違憲とする判断を出した。韓国での姦通罪は刑法241条に規定され、罪が認められれば懲役2年以下の懲役となった。今回、「姦通を法律で処罰することは、国民の基本権を侵害する」として、憲法裁判所の裁判官9人のうち7人が「違憲」と判断した。
この判断で姦通罪の効力は喪失し、また、2008年10月31日以降にまで遡及して効力が発生する。韓国では、これにより姦通罪で起訴された3000人ほどが再審を請求するものと推定され、すでに有罪とされた者のうち少なくとも110人程度が刑事補償を求める可能性があるとしている。
妻からも夫を訴えることができた
韓国では、歴史的には古代から姦通罪が存在したとされたが、実際に法律として定められたのは大韓帝国時代の1905年で、日本の殖民地となった後の1912年にも刑法で規定されている。
日本では1947年の刑法改正で姦通罪は廃止された。欧米諸国でも姦通罪は20世紀に入って廃止されていたが、韓国では残された。ただ、韓国の姦通罪が他国に存在したものと違うのは、女性からも姦通罪で訴えることができるという点だった。日本など他国の姦通罪は、夫が妻とその姦通者を訴えることはできたが、妻から夫を訴えることは法規定になかった。
韓国はこれまで、芸能人などの著名人が姦通罪で訴えられ、そのたびに姦通罪の是非が議論になったことがある。1970年代から80年代にかけて、ロッテオリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)で活躍した往年のプロ野球選手である白仁天(はく・じんてん、ペク・インチョン)選手が1983年、韓国プロ野球球団の監督在任時に姦通罪で逮捕され、これは日本でも話題になった。
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