「アップルウォッチ」使う子が増える意外な背景 アメリカで親が子どもに買う例が増えている

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ただ、スマートウォッチはそもそも機能が限られているため害となるリスクも限られる、と家族向けにテック製品などのレビューを行う非営利組織コモン・センス・メディアの最高経営責任者ジム・スタイアーは語る。

スマートウォッチでは限られたアプリしか使用できず、ウェブブラウザやカメラもないため、注意力を散漫にさせるゲーム、セクスティング(性的なメッセージや画像のやりとり)、その他アダルトコンテンツに子どもたちがさらされる危険はスマホほど大きくない。

また、スマホを持たせないことは、自力で学習する力を養わせるのにも役立つという。スマホを持つと、例えば宿題の答えをネットで調べて終わらせる、といったことになりがちだ。

「親は子どもと連絡が取れるようにはしたいが、子どもが1日中画面を見て過ごすようにはしたくない」とスタイアーは話す。

「スマホ解禁」は遅いほどよい

子どもにスマホを買い与えるのは遅ければ遅いほど良い——。テック製品が生み出す世代間の違いについて複数の著書があるジーン・トゥウェンギは、こう付け加える。スマホを持つと、ソーシャルメディアなど中毒的なインターネットサイトへの接触が増えるためだ。

スマホを与えるタイミングを遅らせることができれば、そのぶん子どもの「成熟が進み、スマホを持つことで生じる問題や潜在的な危険により適切に対処できるようになっているはずだ」とトゥウェンギは言う。

それでも、子どもにスマートウォッチを持たせると早くからテック製品依存になるおそれもある。子ども時代に使った製品のブランドに対する忠誠心は大人になってからも維持される傾向がある、とアナリストらは言う。

ジョン・デシーとその妻は、娘のケイティーが10歳になったとき、スマホへの移行措置としてアップルウォッチSEを買い与えた。パンデミックが始まったころで、ケイティーは外で遊ぶことが増え始めていた。

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