このような中、実は「特産品」を開発する際に、参考になるケースがあるのです。
「東京八百屋の会」という組織があります。東京都内の小さな「3軒の八百屋さん」が集まったものですが、実は、補助金ゼロで、「自分たちの販売力」をもとに、生産者と連携した独自の「特産品開発」が行われているのです。
具体的に、どんなことをやっているのでしょうか。2014年に行われたのは、それぞれの八百屋さんの店舗で30人×3=90人の「お客様モニター」を募集して、試作品を試食してもらうことです。
それを通じて商品を決定。その後は各店舗が「販売数を約束」(これが大事です!)して、生産地に発注、売れ行きに応じて、追加で発注をしていくという方法です。
第一弾で高知の生産者と連携して作った「ミョウガの茎・ピクルス」は販売も絶好調。需要に対応しきれないほどになっていました。
つまり、特産品開発に必要なのは「予算」ではなく、「営業」です。
「東京八百屋の会」のように、小さな店舗グループでも、確実な営業が可能だからこそ、自前で生産地と連携すれば特産品開発が可能なのです。
営業力を持った販売店が最初から連携し、販売できる商品を、生産者と共に作り上げていく。決まった数の販売を契約で約束してくれるため、生産者にとってはリスクも少なく、販売店が商品企画から実際の顧客でのモニタリングもするため、受け入れられればすぐに販売に結びつく。そして販売実績に基づいて、徐々に製造数を増加させていく。最初から行政予算が入っていないからこそ、すべてが「自然の流れ」となり、無理なく継続できるわけです。
従来のように、「予算の力」で進める「内輪受けの商品開発」と、身勝手な取引を要求することばかりが先行する方法ではなく、これからは営業が先を走り、市場と向き合いながら確実に改善を繰り返して販売数を増加させていく、「当たり前の商品開発」が大切です。
現在のやり方は、地方を活性化するどころか、地方の信用をなくしかねない方法になってしまっています。営業と向き合った、地方の繁栄につがる特産品開発が、求められています。
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