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「救世主」も生活保護受給、高齢化進む山谷の現在 「困っている人のために」と人が集まる磁力

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マイホーム山谷(末並俊司 著/小学館/1650円/245ページ)
[著者プロフィル] 末並俊司(すえなみ・しゅんじ)/介護ジャーナリスト。1968年生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、97年からテレビ番組制作会社に所属し、報道番組制作に携わる。2006年からライターとして活動。『週刊ポスト』を中心として、介護・福祉分野を軸に取材・執筆を続ける。

「山谷(さんや)」と聞いて、すぐに場所が思い浮かぶだろうか。東京都台東区と荒川区にまたがる肉体労働者と簡易宿所の街、いわゆるドヤ街である。その名も今は地図から消え、通称としてのみ残る。

関東大震災や戦争で焼け跡となった土地に日雇い労働者が集まりドヤ街となった。その後、「山谷に行けば食える」と、過酷な労働環境が待つこの地へ全国からよそ者たちがやってきた。山谷は高度成長期には土木建築労働者の供給源となった。

現在の山谷に住む労働者は3800人ほどで、平均年齢は67.2歳(2018年度)だ。かつての肉体労働の街でも、高齢化が進んでいる。高齢になれば過酷な仕事はできない。ドヤなどで暮らす人たちの生活保護受給割合は88.9%(同年度)だという。

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