「年収200万円で豊かに暮らす」ではマズい理由 2003年には年収300万が低い年収の象徴だった

✎ 1〜 ✎ 77 ✎ 78 ✎ 79 ✎ 最新
拡大
縮小
「年収200万円」で豊かに暮らす、が波紋を呼んだ理由とはーー?(写真:freeangle / PIXTA)

少し前になるが、「年収200万円」がTwitterのトレンドに上がった。とあるムックのタイトル『年収200万円で豊かに暮らす』という言葉に反応したものだ。

曰く「年収200万円では豊かに暮らせない」「そもそも200万円しか給料がもらえないこと自体がおかしい」「その年収じゃ怖くて病院へもいけない」「200万円で我慢しろと言うのか」と、なんとも手厳しい言葉が並んだ。いちいちごもっともである。

実物のムックを見たが、誌面に登場する人が必ずしも年収200万円というわけではない。200万円とは、いわば高収入ではないことの「記号」でしかなく、編集部としては「読者の皆さんよりはちょっと少ない年収」のつもりだったのだろうが、現実はまったくそうではないようだ。

告白すると、雑誌編集者時代に節約記事やムックを作ってきた筆者も、似たような言葉は散々使ってきた。とくに「お金がなくても豊かに暮らせる」というタイトルは鉄板だったし、「年収300万円でも100万円貯まる」なんて、もう何度見たことか。

2003年、森永卓郎氏の本では「年収300万円」だった

その当時、森永卓郎氏の著書『年収300万円時代を生き抜く経済学』(2003年)が出版され、大いに話題を集めた。当時は300万円が「衝撃的に低い年収」の象徴で、雑誌作りの現場としても「少ない年収でも頑張って貯めている人」を取材しようとしたものだ。

打ち明け話をすると、300万円といっても額面ではなく手取り額でよしとし、かつ300万円台ということは380万円でも許容された。そのくらい年収300万円は一般的な事例という空気ではなかったという記憶だ。

次ページ手取り年収200万円の人はどれくらいいるか
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT