トヨタが「リアル車将棋」に本気で挑む理由

ニコ生との異色コラボ、羽生善治名人も参戦

トヨタの過去の名車。左上から時計回りに「MR-S」「アルテッツァ」「初代ヴィッツ」「カローラレビン」「トヨペットクラウン」

2月8日(日)。埼玉・所沢の西武ドームを舞台に前代未聞のイベントが、朝10時から約10時間にわたって繰り広げられる。スポーツや音楽ライブなどではない。主役はクルマだ。16車種40台を「王将」「飛車」「香車」「歩」などの将棋の駒に見立て、球場を盤面に超一流の棋士が本気で将棋を指す。名付けて「リアル車将棋」。ニコニコ生放送でインターネット中継される、このドワンゴの企画に共催するのは、あのトヨタ自動車である(当日、球場に一般客は入れない)。

埼玉県所沢市にある西武ドーム(写真:さくら/Imasia)

山形県天童市の春の風物詩として、鎧甲に身を包んだ武者たちが駒に扮し、プロ棋士が対局する「人間将棋」を彷彿とさせる。そもそもクルマが駒になるイベントは過去に例がない。駒となるのは、トヨタの「トヨペットクラウン」(王将)「カローラレビン(AE86)」(飛車)「MR-S」(香車)「初代ヴィッツ」(歩)など過去の名車8車種と現行モデル8車種。そのうち現行8車種は事前のインターネット投票でユーザーから選出され、当日発表となる。

羽生名人vs.豊島七段は将棋ファン垂涎のカード

このイベントは、日本将棋連盟の全面協力も取り付けている。さらには将棋ファンも思わず唸る好カードが組まれている。対戦するのは羽生善治名人と豊島将之七段だ。羽生名人は言わずと知れた将棋界のスーパースター。現在、名人の他に3つのタイトル(王位、王座、棋聖)を保持しており、44歳の今でもトップに君臨し続けている。一方の豊島七段は弱冠24歳という若手のホープ。タイトル戦には2度出場。各棋戦での活躍がめざましい。

2人の対局で、記憶に新しいのは2014年秋に行われた王座戦五番勝負。勝負は最終局にまでもつれ、最後は羽生王座が勝ってタイトルを防衛。今回、リアル車将棋という大舞台はその再現だ。羽生名人が貫録を示すか、豊島七段が借りを返すか。クルマの移動時間も持ち時間となるため、当日は2人の棋士の指し手に沿って、各ドライバーチームが速やかなクルマの移動も競い合うのも見どころの一つといえる。

良く言えば「斬新でインパクトがある」。ある意味では「バカバカしい」。ドワンゴ関係者すら「ダメ元で頼んだ」と明かす今回のリアル車将棋。ドワンゴとの共催とはいえ、日本一の大企業であり、世界トップクラスの自動車メーカーでもあるトヨタが、この企画を打ち出したこと自体が驚きである。

ドワンゴは、2011年から過去3回にわたってプロ棋士とコンピュータ将棋ソフトを対決させる「将棋電王戦」を運営。2015年春にひとまずこの企画の仕上げとなる「将棋電王戦FINAL」が予定されており、リアル車将棋は記念企画の一つとなる。その企画がドワンゴからトヨタに持ち込まれたのが2014年春。今回のリアル車将棋を主導したトヨタの宣伝機能を担うトヨタマーケティングジャパンへの提案だった。

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