トヨタ「MIRAI」が圧倒的にすごい2つの理由

世界初の量産燃料電池車に乗ってみた!

ついにベールを脱いだ「MIRAI」。セダンタイプで登場

「トヨタが燃料電池車を2015年に市販へ」――。

2013年秋の東京モーターショー。トヨタ自動車が発表したニュースが世界を駆け巡った。燃料電池車(FCV)はダイムラー、ゼネラルモーターズ(GM)、フォードといった世界の巨人たちがかつて2010年までに市販するという目標を掲げ、躍起になって研究開発をしたにもかかわらず、まだ実現していない。それなのに、急にトヨタが市販すると名乗りを上げたことに対して、ポジティブな期待というよりは、にわかには信じがたいという声がほとんどだった。

しかし、その予告はトヨタが自ら設けた期限を待たずに、現実となった。トヨタは11月18日、世界初の量産FCVとなる「MIRAI(ミライ)」を12月15日に発売すると発表した。車両本体価格は723万6000円(税込み)だ。

筆者が驚きを強調しても、そのすごさがイマイチわからないという読者も多いだろう。まずは、「FCVって何がスゴイの?」という疑問に答えよう。

燃料電池車は水しか出さない

そもそも「燃料電池」とは名ばかりで、電池のように電気を貯めたりはしない。”Fuel Cell”という英語を直訳したゆえに混乱を招くネーミングだが、要はタンクに積んだ水素と空気中の酸素を化学的に結合させて発電する装置であり、「水素発電機」とでも呼んだ方がしっくりくる。

それを積んだ燃料電池車とは、水素をエネルギー源にクルマの上で発電しながら走る電気自動車(EV)の一種であり、エネルギーをつくる代わりに排出するのは水だけ、排ガスはいっさい出さないという究極のエコカーだ。加えて、水素は地球上にほぼ無限に存在することから、化石燃料を一切使わないというだけではなく、エネルギーの枯渇の心配がない。それらがともに備わってこそ、FCVは夢の未来カーと呼ばれる。

もともとは米国が1960年代に宇宙開発プログラムの中で開発した技術であり、有人宇宙船であるジェミニに搭載されたのが始めての実用化だ。当時、世界の覇者として君臨していたGMは、1960年代にはすでに燃料電池車の開発をスタートしている。

一方、1990年代になって本格的に燃料電池の開発を始めたのが、メルセデス・ベンツ。最初はミニバンの荷室のほとんどが燃料電池という、”燃料電池運搬車”のようなクルマだった。しかし、1997年に乗用車に搭載できるサイズに小型化してきたことで、にわかにフォードやGMも色めきだった。当時、どの自動車メーカーも2010年の実用化を高らかに謳っていたし、いっときはホンダがコストダウンと性能の両面でリードしているとの下馬評もあった。

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