悪気のない「残念な夫」が、いちばん危険 「イクメン自称」が妻の怒りに火をつける

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実際、ドラマを見た女性視聴者の皆さんからは、「夫に見せたい」という声が多かったです。

たとえば1話の終わりで、知里が陽一に「出産っていうのは、1回死にかけて、歯も欠けて髪も抜けて、身体がぼろぼろになるんだ」ということを訴えるシーンがありましたが、男はたぶん、ああいうことをまったくわからないと思うんですよ。女の人も、わざわざ言わないですしね。

そういう部分を、ドラマの中で知里が代弁してくれるので、男の人はそれを見れば、客観的にその事実を知ることができると思うのです。

自分たちを客観的に見る機会が必要

――ほかには、どんな反響がありましたか?

「夫が父親になりきれていない」と感じている妻が、ものすごく多いと感じました。

夫本人は「イクメン」のつもりなのですけれど、おむつ換えをするのはおしっこのときだけで、うんちのときは妻にバトンタッチしてしまったりする。おしっこのおむつ換えだって、妻に怒られたくないからやっているだけだったりして(笑)。

当事者意識が少ないから、積極性がないんですよね。だから「手伝おうか」とか、妻が出掛けるときに「(子どもを)預かろうか」なんていう言葉が出てしまうのでしょう。

――ずっとうなずきっぱなしです(笑)。夫の側にも言い分はあるのでしょうけれどね。

そうですね。このドラマが、妻と夫それぞれの「代弁者」のようになれればいいな、と思っています。

だから「男ってこういう生き物なんだよ」という提示も、ある程度、心掛けています。ドラマを見た人が、「ああ、うちのダンナもこうだ。そうか、うちだけが特殊じゃないのか。男ってこういうものなのかもしれない」というふうに気づいてくれれば、旦那さんへの接し方が変わって、関係がよくなるかもしれませんよね。

産後の女性って、精神的にいろんな意味で追い詰められやすいところがあると思うのです。仕事をしているときや、独身のときにはおそらく気にならなかったであろうことも、この時期はどんどん追い詰めて考えてしまうところがあるんじゃないかと。

そういう方たちにとって、このドラマが、別の視点を得る手助けになれたらいいな、とも思います。夫婦が自分たちの姿を客観視して、お互いの接し方を見直すきっかけになるといいな、と。

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