「イスラム国よ、まず日本政府と交渉を」 イスラム法学者のハサン中田考氏が提案
<ハサン氏の会見概要>
今回の身代金要求と殺害予告は、安倍首相の中東歴訪にタイミングを合わせて行われている。安倍首相は中東の安定のために歴訪したのだろうが、現地から見れば非常にバランスが悪い歴訪だ。安倍首相は、イスラエルの入植政策に反対するコメントを出しており、それでバランスがとれていると考えているかもしれないが、そもそもイスラエルと国交を結ぶアラブ諸国が少ない中で、イスラエルと交流を持っていること自体でバランスを欠くとみられる。
安倍首相はイスラエル寄りの国しか訪問せず
さらに、2億ドルは人道支援のため、と言っているが、そうであるならば、シリア内戦による難民の多くを受け入れ、ISISとの関係でも重要なトルコも訪問すべきだ。訪問したエジプト、ヨルダン、パレスチナ(西岸地区)はいずれもイスラエル寄りのアラブ諸国であり、そこしか訪ねないのでは、アメリカの手先と認識される。これは中東では常識的なことだ。人道支援だ、といってもISISと戦う国のため、といっていては通用しない。二人が人質になっていることを分かっているにもかかわらず、中東を歴訪し、わざわざISISと闘うなどと表現するのは、外務省は不用意だ。
ISISの要求を飲む必要はない。要求を飲むことと、交渉のパイプを持つことは別のことだ。たとえ無条件解放を要求するにせよ、人質の受け渡しやその間の空爆の停止など、ISISと正しく交渉できなければ話にならない。
この地域での人質事件などでは、これまでも多くの偽物の仲介者がたくさん現れて米国も失敗を重ねている。今回もそうなる。交渉者が本物だとどうやって判断するのか。正しい交渉のパイプを持たなければならない。
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