「イスラム国よ、まず日本政府と交渉を」 イスラム法学者のハサン中田考氏が提案

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会見する同志社大学のハサン中田考客員教授
イスラム法学者で同志社大学客員教授を務めるハサン中田考氏が、イスラム国(ISIS)による日本人人質事件の解決を目指して、22日午前、東京都内の日本外国特派員協会で記者会見を開いた。
ハサン氏は、著名なイスラム法学者としてイスラム世界に幅広い人脈を持ち、2012年には同志社大学で、アフガニスタン・カルザイ政権(当時)幹部とタリバン幹部が同席する国際会議を実現させたこともある。現在、日本人としてほぼ唯一ISISとのパイプを持つ存在だ。昨年秋にはISISから、人質の一人、湯川遥菜氏の裁判の実施に協力を要請されている。このときは外務省の協力を得られず、“自己責任”でISISに入ったが、空爆で湯川氏の救出は叶わなかった。
その後、北海道大学学生のISISへの渡航支援やISIS関係者とコンタクトを取っていることなどを理由に、警視庁公安部から私戦予備・陰謀罪という極めて異例な疑いを掛けられ、現在、被疑者扱いとなっている。このため、ハサン氏は、自身と関係者への影響を勘案し、メディアへの露出を控え、従来行っていたツイッター等SNSへの投稿も抑えていたが、ISISによる人質殺害予告という深刻な事態を受け、人質救出のため、弁護士同伴で記者会見を行うことにしたという。ISIS関係者への直接的なコンタクトができない中で、内外のメディアを通じてISISへメッセージを送るのが狙いだ。

 

<ハサン氏の会見概要>

今回の身代金要求と殺害予告は、安倍首相の中東歴訪にタイミングを合わせて行われている。安倍首相は中東の安定のために歴訪したのだろうが、現地から見れば非常にバランスが悪い歴訪だ。安倍首相は、イスラエルの入植政策に反対するコメントを出しており、それでバランスがとれていると考えているかもしれないが、そもそもイスラエルと国交を結ぶアラブ諸国が少ない中で、イスラエルと交流を持っていること自体でバランスを欠くとみられる。

安倍首相はイスラエル寄りの国しか訪問せず

さらに、2億ドルは人道支援のため、と言っているが、そうであるならば、シリア内戦による難民の多くを受け入れ、ISISとの関係でも重要なトルコも訪問すべきだ。訪問したエジプト、ヨルダン、パレスチナ(西岸地区)はいずれもイスラエル寄りのアラブ諸国であり、そこしか訪ねないのでは、アメリカの手先と認識される。これは中東では常識的なことだ。人道支援だ、といってもISISと戦う国のため、といっていては通用しない。二人が人質になっていることを分かっているにもかかわらず、中東を歴訪し、わざわざISISと闘うなどと表現するのは、外務省は不用意だ。

ISISの要求を飲む必要はない。要求を飲むことと、交渉のパイプを持つことは別のことだ。たとえ無条件解放を要求するにせよ、人質の受け渡しやその間の空爆の停止など、ISISと正しく交渉できなければ話にならない。

この地域での人質事件などでは、これまでも多くの偽物の仲介者がたくさん現れて米国も失敗を重ねている。今回もそうなる。交渉者が本物だとどうやって判断するのか。正しい交渉のパイプを持たなければならない。

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