働くママの評価制度は成果主義でいこう 勤務時間で測られたら、堪らない

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田中和子(たなか かずこ)
博報堂リーママプロジェクト リーダー。40社400人の働くママとの「ランチケーション」や、2万9900人のいいね!で支持される「はたらくママの声を届けよう!」Facebookページを通して、ママたちの元気を支える「糧(かて)ことば」を集める。ほかに、新クリエーティブ事業開発や、グループ子会社VoiceVisionで共創コミュニティ・プロデュースを手がける。2男1女の母

田中:もうひとつ、時間をかければ仕上がりはよくなるけれど、本当にそこまでの品質が求められているのかという話もある。よく言われるのは、欧米型の働き方は、たとえば10時間あったら、最初の2時間で仕事の8割をやってしまう。最後は残りの時間で仕上げる。日本は逆なのね。

塩野:日本人のプレゼン準備と論文作成の時間配分は完全に逆ですね。

田中:8時間かけて考えて、残りの2時間で頑張って形にしようと思うから、最後の2時間を頑張らなければならなくなる。だから、どこの時点の中身を見るか。そこは上の人とよく話し合わなければいけないと思いますね。あとはマネジメントとしても時間の制限をつけて、それ以上長く働くと、残業代がプラスにつくのではなく、ペナルティが発生するくらいにしてしまうという考え方もあると思います。

塩野:新人のかなり早い段階で、「結果がすべて」という教育を受けていないと、上長側もスタッフ側もそれはできないでしょうね。

さきほどの管理職に女性が増えたら、という話ですけど、たとえば日本の女性取締役比率は1.4%で、米国では約30%です。米国有名大企業(S&P500)でも約19%です。シンガポールは管理職の3割以上が女性だと言われています。

女性は厳しいけど、相手が幸せかが念頭にある

塩野:いま、日本でも女性取締役を増やそうという動きがありますけれども、それをしたら変わりますか。

田中:変わります。女性は厳しいけれども、部下や従業員を死ぬまで働かせたりしない。自分の部下の幸せが念頭にあると思うんですよね。私が出会ってきた女性の先輩たちは、どんなに厳しくても、最後は「あなた、大丈夫?」って聞いてくれる。それは子供のいない方でも、独身の方でも同じだと思います。それを一言で母性とは言いたくないけれど、たぶん一種のコミュニケーション能力だと思う。女性は生まれながらに相手の状態がどうなっているかを見て、相手の心地よさを担保しようとする。女性と男性の営業のやり方の違いはそこだと思うんですよ。

女性が経営を判断するところに入ってくると、「え、それって本当に必要でしたっけ?」という質問がたぶん出ると思うんですよね。みんなが常識だと思い込んでいるけれど、本当にそうなのか?という投げかけがテーブルに乗ることで、いろんなものが変わると思います。

私、女性はイノベーターだと思っているんですよ。

塩野:そうですね。チェンジメーカーでもある。

田中:特に日本の女性は、本当にいますごくチャンスだと思います。なぜなら働く女性やお母さんたちは、ものすごく課題意識がある。その課題意識がいろんなものを変えていくと思います。

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