米国経済は、市場が騒ぐほど脆弱ではない 「2つの悪材料」を強調しすぎるマーケット

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下落するガソリン価格。米国では2009年3月以来の1ガロン(約3.785リットル)2ドル割れ。リッターあたり60円台前半という安さだ(写真:ロイター/アフロ)

先週末の金曜日(1月9日)に発表された、2014年12月分の米雇用統計は、堅調な内容だった。まず失業率は11月の5.8%から5.6%に改善した。また注目を集める、非農業部門雇用者数は、前月から25.2万人の増加をみせた。

これは11月分の前月比である、35.3万人増(当初発表は32.1万人増)に比べれば小幅だが、この月が出来過ぎであったとも言える。2014年は、1、4、11月を除けば、雇用者数は毎月20万人台の安定した増加を示しており、12月分の統計も、そうした穏やかな雇用の改善基調に沿ったものであったと言えよう。

「2つの悪材料」をせっせと掘り起すマーケット

しかし、先週末の米国市場は、冷たい反応を見せた。米国の主要な株価指数は、軒並み前日と比べて下落。米ドルの対円相場は、雇用統計発表直後こそ1ドル=119円70銭近辺まで強含んだが、引けにかけては米株安にひきずられて勢いを失い、118円54銭と、119円割れで引けている。

こうした金曜日の米国株の下落は、市場が先週火曜日(6日)までの痛手からその後立ち直ったように見えても、実はまだ不安心理に支配されがちであることを示していると言えよう。

雇用統計という「善」の材料を無視して、週末の市場が「暗黒面」に落ちたのは、主に「2つの悪材料」をわざわざ掘り起こして騒いだことによるようだ。

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