有料会員限定

「他者理解の力を養うにはネットを捨て、街へ出よ」 エンパシー|ライター・コラムニスト ブレイディみかこ

✎ 1〜 ✎ 6 ✎ 7 ✎ 8 ✎ 最新
拡大
縮小
ぶれいでぃ・みかこ 1965年生まれ。福岡県立修猷館高校卒業。96年から英国ブライトン在住。英国で保育士として働きながらライター活動開始。2019年『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』でYahoo!ニュース|本屋大賞ノンフィクション本大賞。近著に『他者の靴を履く──アナーキック・エンパシーのすすめ』など。(撮影:Shu Tomioka)

特集「2022年大予測」の他の記事を読む

コロナ禍で格差拡大や階層分断への懸念が広がる中、日本でも他者への「共感」を深める動きがある。ただ、世代間やジェンダーのギャップはいまだ残っている。『他者の靴を履く』などの著書を通し、社会的マイノリティーの立場で発信する英国在住のブレイディみかこ氏が、日本社会に足りない他者理解の問題点について語った。

──新型コロナを機に「共感」がキーワードになっています。

「共感」に当たる英語には「エンパシー」と「シンパシー」がある。エンパシー(empathy)とは、自分とは異なる意見を持っている人や異なる境遇で育ってきた人の立場に立って想像し、理解する知的能力。英国では「他者の靴を履く」とも表現される。一方、シンパシー(sympathy)とは、同じような考えや境遇の人に対して抱く感情。両者は似ているがその意味はまったく異なる。

日本社会に欠けているのはエンパシーだ。職場では「来客には女性がお茶を入れるもの」と男性は新人の頃から刷り込まれ、女性の側も疑問に思わない。互いに「認知のバイアス」がかかるので男女の差を当然と思い、エンパシーを働かせにくい。それが、ジェンダーギャップが解消されない原因だ。

エンパシーのある職場は対話から始まる。形式だけの会議より、もっと日常の中で不満や困り事をぶつけ、対話することが必要だ。

──しかし、リモートワークが普及して対話の機会が減少しました。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
2022年大予測
ネット配信|ネットフリックス共同CEO テッド・サランドス
チャレンジ|東京五輪スケートボード金メダリスト 堀米雄斗
闇の正体|作家 桐野夏生
脱成長|解剖学者 養老孟司
オミクロン|獣医師・博士(獣医学) 水谷哲也
資本主義|日本総合研究所理事長 翁 百合
エンパシー|ライター・コラムニスト ブレイディみかこ
人材活性化|サントリーホールディングス 社長 新浪剛史
性差と賃金|日本労働組合総連合会 会長 芳野友子
経済安保|経済安全保障担当大臣 小林鷹之
エネルギー|IHSマークイット副会長 ダニエル・ヤーギン
格差と分断|米シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネス教授 ラグラム・ラジャン
生き方|アンドリュー・スコット×リンダ・グラットン×平野未来
人生哲学|日本電産会長 永守重信
持続可能性|日本経済団体連合会会長(住友化学会長)十倉雅和
不確実性|仏パリ経済学校教授 ダニエル・コーエン
世界の課題|経済学者・思想家・作家 ジャック・アタリ
池上彰が先読み
2022年大予測
108テーマで未来の激変をすべて先読み!
国内外の主要スケジュール
2022年 中国と選挙、金融に大注目!
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内