ヤバすぎる!「培養肉ハンバーグ」の衝撃 肉の生産も消費も、根本から変わる

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このような技術革新から描ける将来を考えると、外食産業・食品業界のプレーヤーの行動もおのずと変わってくる。

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研究室で牛の幹細胞を培養

たとえば、外食企業や食品企業はバイオテクノロジーが競争力の源泉となる日を見越して、優秀な技術者を受け入れる土壌を作っておく必要がある。製薬会社やIT企業との協業、あるいは培養肉のような先端技術を持つベンチャー企業への投資も考えてもおかしくない。そういった企業には、優秀な技術者や研究者など人材がそろっているからだ。

逆に、製薬会社やIT企業などが培養肉市場に続々と参入してくるケースも考えられる。そうなると市場が拡大する一方で、激しい競争が繰り広げられるようになるかもしれない。

いずれにせよ、培養肉の普及が始まれば、既存の外食産業・食品業界のプレーヤーは内部資源だけでは、業界変革という大きな変化に対応できなくなる可能性が高い。

新しいビジネスが生まれる可能性も

現在、フランスでは国内の飲食店向けに「fait maison(自家製)」の認証制度が設けられている。レストランで提供される料理が「自家製」か、それとも冷凍食品などの「出来合い」の料理なのかを厳重に区別するためだ。同様に、将来的には「培養肉」か「自然肉」を区別する認証制度、さらには認証力を証明するような民間資格も生まれるかもしれない。

ハラール認証のように、玉石混淆の認証団体も出てくるだろうし、有料セミナーを受講することで資格を付与する資格ビジネスなども生まれる可能性がある。技術革新は、業界変革を起こすだけではなく、新たなビジネスをも生み出す可能性があるのだ。

「培養肉」という技術革新1つとっても、それが及ぼす影響や与える変化を考えることで未来を予測できる。「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざがあるが、ある事象が発生すれば、必ず何かが起こる。それが一見すると全く関係のない場所や物事に、大きな影響をおよぼすことも十分にありうるのだ。

田中 大貴 M&A戦略コンサルタント、MAVIS PARTNERS プリンシパル

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たなか だいき / Daiki Tanaka

早稲田大学商学部卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社、その後、ジェネックスパートナーズ、マーバルパートナーズ(現PwCアドバイザリーのDeals Strategy部門)、ベイカレント・コンサルティングのM&A Strategy部門長を経て現職。一般社団法人ポストM&A研究会 代表理事、グロービス経営大学院にてファイナンス講師も務める。

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