ソニー、テレビ事業10年ぶり黒字化の舞台裏

分社化でようやく息を吹き返した

7月に設立したテレビ事業専業子会社、ソニービジュアルプロダクツ社長の今村昌志氏

スマートフォン事業の不振が響き、2015年3月期は2300億円もの巨額最終赤字を見込むソニー。パナソニックやシャープと比べても、業績回復の遅れが目立ち、“独り負け”とも評されるが、決算の詳細を見れば、ゲームやデバイスなど、かつて不採算に陥ったが、ここ数年の構造改革で黒字化を果たした事例も多い。その中で、テレビ事業もようやく再建の軌道に乗りつつある。

ソニーのテレビ事業は14年3月期まで、10年間赤字体質が続き、計8000億円近くの赤字額を計上。歴代トップが黒字化への決意を述べたものの、ことごとく未達に終わった経緯がある。14年7月には、テレビ事業を本社から分社化。そして14年4~9月期(第2四半期)は、約11年ぶりに2四半期連続で営業黒字に浮上。ようやく悲願の通期黒字化が見えつつある。

ブラウン管から液晶への対応が遅れた

商品モデル数の絞り込み、販売やマーケティングの効率化……。テレビ事業が向き合った課題は、現在不振のスマホ事業が取り組もうとしている課題とそのまま重なる。かつての拡大路線からどう安定収益路線へと舵を切ったのか。11年からテレビ再建の指揮を執る、ソニーのテレビ事業子会社、ソニービジュアルプロダクツの今村昌志社長に話を聞いた。

――そもそもテレビ事業はなぜ赤字が10年間も続いたのか。

 一言でいえば、市場の変化のスピードに対し、ソニー自身のオペレーションを変えるスピードが遅かったということだ。

長いスパンで見ると、テレビはかつてのブラウン管から液晶の時代へと環境が大きく変わり、ビジネスモデルの根本的な変革を迫られた。ブラウン管時代、ソニーはトリニトロンのブラウン管という独自デバイスで一時代を築いたが、当時は地域に根差したテレビづくりが基本姿勢。そのため欧米、アジアのそれぞれの拠点に、製造、設計、マーケティングや販売の体制をすべて抱えていた。

テレビは国ごとに放送局が異なり、かつ住環境も異なるため、地域性が強い。地域に根差した商品を出すという姿勢はその頃から今も変わっていない。

ただし液晶テレビの時代に入り、生産面では水平分業がトレンドとなり、環境が一変した。今や全世界向けのテレビの開発、設計を日本でやり、製造はマレーシア主体でやるようになった。一方で、これまで同様、地域性を重視する必要もあり、水平分業とは一部で矛盾が生じてしまう。変化のスピードが遅れた原因には、こうした背景がある。

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