東宝はなぜ「国産ゴジラ」を再び作るのか ハリウッド版2作目にガチンコ勝負!?

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それから10年、今年のハリウッド版の大ヒットは、東宝社内のゴジラ熱を呼び覚ました。10月には、ゴジラの新プロジェクトを考える特別セクション「ゴジラ戦略会議(ゴジコン)」が発足。社内の部署の垣根を超えてゴジラ好きを集め、「映画製作だけでなく、どんな可能性も検討する」(同社幹部)体制を整えた。

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保坂展人・世田谷区長(右)からゴジラに感謝状が手渡された

高まりつつある機運を一段と盛り上げようと、ゴジラに関連した取り組みもスタートしている。

11月には、第1作公開60年を機に、撮影スタジオのある世田谷区から、ゴジラに感謝状が贈呈された。贈呈式には、1954年の初代ゴジラ上映当時からゴジラを知る中高年世代に加え、20代の女性やゴジラを知らない小学生以下の少年少女、合わせて80人を招待。ゴジラと記念写真の撮影も行った。

また、来年2月から世田谷美術館で開催される東宝スタジオ展では、ゴジラのミニチュアを駆使した特殊撮影技術にスポットを当てた展示が行われる予定。アカデミックな面からゴジラのPRを進めたい考えだ。

新宿にゴジラヘッド

さらに12月8日には、新宿・歌舞伎町の新宿コマ劇場の跡地に建設中のビル、新宿東宝ビル(2015年4月オープン)に、ゴジラの実物大頭部を建設すると発表した。初代ゴジラの身長と同じ、50メートルの高さに設置され、ビルの合間からゴジラが顔をのぞかせる構図だ。東宝ゴジラの大ヒットを知らない若年層や外国人へ、一段の認知度向上を狙う。

そして今年最後にぶち上げられたのが、再びのゴジラ映画製作だった。なぜ東宝はゴジラ映画にこだわるのか。そこには、ゴジラが映画に加えて、別の収益機会も得られる貴重な存在という面がある。ポイントはゴジラの商標権を東宝が持っている点だ。

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