東宝はなぜ「国産ゴジラ」を再び作るのか ハリウッド版2作目にガチンコ勝負!?

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新宿東宝ビルに設置されるゴジラヘッドのイメージ図(TM&ⒸTOHO CO., LTD.)

東宝は、今年公開されたハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』に製作出資はしていないが、キャラクターの使用料、そして商品化許諾に伴うライセンス収入を得ている。

製作した米レジェンダリー社は今作のヒットを受けて、2作目(2018年公開予定)の製作も決めた。東宝は、モスラやキングギドラなどゴジラ以外の怪獣の使用権を許可したとも伝えられている。実際に映画でそれらのキャラクターが登場することがあれば、キャラクター使用料は1作目以上となる見通しだ。

ただ、製作出資をしていないハリウッド版の映像などに関する権利は有していない。映画の大ヒットをきっかけにした映像の二次利用で得られる収益機会は限られている。

ライセンスビジネスの切り札

ところが、自社で製作した映画がヒットすれば話は別。ゴジラのキャラクタービジネス拡大へ主体的に動くことができる。パチンコをはじめとした遊技機への映像提供によるライセンス収入のほか、最近ではアプリゲームなどの広がりによって、映像の二次利用を求める場は増えており、収益機会は広がりを見せている。

同じ映画会社では、東映や子会社の東映アニメーションが「仮面ライダー」や「プリキュア」などの商標権を有しており、玩具などの安定した人気を背景に、長年にわたって手堅いライセンス収益を稼ぎ出している。東宝も、自社での映画製作をきっかけにゴジラ人気が再燃すれば、キャラクター関連商品などを通じたライセンス収入が見込める。

これまでも長期の製作休止をはさみ、ゴジラブームを起こしてきた東宝。二次利用ビジネスの拡大にも、映画ゴジラのヒットは必須だ。ハリウッド版の世界的ヒットを追い風に、再び自社製作でゴジラ旋風を巻き起こせるか。

鈴木 良英 東洋経済 記者

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すずき よしひで / Yoshihide Suzuki

『週刊東洋経済』編集部記者

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