「中国への嫌悪感」が台湾民進党圧勝の背景 台湾学生運動のリーダー・林飛帆氏に聞く

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今回の統一地方選挙の結果に大きな影響を与えたともいわれる「ひまわり学運」の、リーダーだった林飛帆氏。選挙結果や中国との関係などについて、率直に語ってもらった。
11月29日に統一地方選挙が行われた台湾。2016年実施予定の総統選挙の行方を占う、台湾政治において重要な選挙だったが、最大野党の民主進歩党(民進党)が圧勝、与党・中国国民党(国民党)は歴史的敗北を喫した。
国民党の牙城だった台北市では、民進党が推す無所属候補が当選。台中市なども民進党候補が市長選に勝利、民進党の勢力を拡大することになった。現在の馬英九総統の政治手腕に地方レベルではあるが「ノー」を突きつけたことになる。責任を取って江宜樺・行政院長(首相)が辞任。さらに、馬英九総統も兼任していた国民党主席を辞任した。
今回の選挙では今年3月に発生した学生運動の影響が強いという見方がある。現政権の対中国政策に不満を持ち、中国との自由貿易協定の中身に賛同できない学生たちが国会に当たる立法院をひと月あまり占拠。この運動は、「ひまわり学運」と呼ばれ、若者の運動から台湾国民へ幅広い支持と共感を呼び、結果、自由貿易協定のスケジュール進行を食い止める役割を果たした。
その「ひまわり学運」のリーダーだったのが、台湾大学大学院生の林飛帆氏(26)。現在も学生運動を行い、社会運動の中心的存在となっている。林氏に野党圧勝で終わった今回の地方選挙の結果について聞いて見た。

――今回の統一地方選挙では与党・国民党が惨敗しました。これまで「民進党はしっかりせよ」と批判してきましたが、民進党は国民党にダブルスコアで勝利しました。ここまで民進党が票を伸ばした理由は何でしょうか。今年3月の学生運動の影響があったのでしょうか。

今回の選挙結果には驚きました。民進党自身も、これほどの勝利になるとは事前にわからなかったでしょう。特に主要選挙区で行われた投票日前最後の世論調査を見たら、すべて国民党がリードしているという結果が出ていました。最後に1週間で民進党に票が流れたのであれば、それはとても意外なことでした。

選挙結果にはさまざまな意見があるようです。実家を離れて住んでいる若者たちがわざわざ帰省して投票するなど、市民意識が高まったことと関係があると言う人もいる。一方で、今回は民進党の圧勝であり、馬英九政権に対する不信感が力を結集したという意見もあるようです。ただ私は、民進党に完全なる支持を得たと言えるのかどうか疑問に思っています。

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