iPhoneとファナック結ぶ点と線

拡大
縮小


 ファナックが象徴するように、日本の工作機械メーカーは今、アジア特需で沸きに沸いている。08年秋のリーマンショック後、業界の受注額は一時、前年同月比8割減まで激減した。それが09年1月以降は右肩上がり。最盛期には届かないが、依然プラス成長を続け、今年は年間1兆円に達する可能性もある。

牽引役は外需、とりわけ需要旺盛なのがアジアである。中国向けの受注高は、今年7~9月に1年前の3・5倍まで膨張。さらにここ数カ月は「アジアのEMS(電子機器の製造受託サービス)からの引き合いが伸びた」(大手メーカートップ)。

が、すべての工作機械メーカーが恩恵を享受できるとは限らない。

今春。一部の工作機械メーカーが“特需”といえるスポット受注を獲得した。発注元は中国・台湾系のEMSだ。ノキアの携帯電話やソニーの薄型テレビ、アップルの「iPhone(アイフォーン)」などについて、彼らは受託生産を請け負う。

ただし、EMSから工作機械メーカーに対する注文は、大量かつ短納期。価格要求も厳しい。そのうえ世界最大のEMS、鴻海精密工業の労働者ストでもわかるように、低コストが売りのEMSも、近年は人件費高騰に悩まされている。新設備導入による省力化・合理化は喫緊の課題だ。「そうした要望に対応できる会社は少ない」(中堅メーカー首脳)。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT