セブンが怒涛の参入、「ドーナツ戦争」勃発か コンビニの巨人は、年6億個の販売を目指す
セブン-イレブン・ジャパンがコーヒーの次に狙いを定めたのは“ドーナツ”だった。昨年コンビニで巻き起こった、入れたてコーヒー旋風。セブンでは現在、1日1店あたり120杯売れる看板商品になっており、2014年度は計6億杯を超す勢いである。このコーヒーと同時購入が期待できるドーナツを投入し、さらなる成長を目指す。コンビニ各社が追随すれば、新たに「ドーナツ戦争」が起こる可能性もありそうだ。
コーヒーと相性のよい商品の開発は、コンビニ各社の重点戦略になっている。セブンでもタバコやサンドイッチ、スイーツなどを一緒に購入する顧客が多い。だが、こうした既存商品の深掘りよりも、「潜在的なニーズを掘り起こしたかった。そこで(これまで開拓が不十分だった)“間食マーケット”を狙い、ドーナツの本格展開を検討し始めた」(鎌田靖・商品本部長、上写真)。実際、入れたてコーヒーは昼過ぎから夕方までの購入が多く、間食需要を取り込みやすいと分析した。
ドーナツの導入は10月末から関西の店舗で始まっており、15年8月までに全国1万7000店の大半に広げる。値段は税込み100円から。数種類をレジ脇に置いた専用ケースにて販売し、地域や季節によって置く商品に変化をつける。販売目標は、2016年度に6億個で、金額に換算すると600億円だ。先行導入した店舗では、1日1000~2000個売る店もあるといい、「数百個売れる店もザラにある」(同)。
専用のパン工場から3時間以内で配送
さらに、ドーナツを並べた店舗では、コーヒーの販売数も1日平均20杯ほど伸びているという。菓子パンの売り上げが食い合いで減ることも懸念されたが、それもなく、女性客を中心に、狙い通り新たな需要を掘り起こせているとセブンはみる。
製造は全国に24カ所あるセブン専門のパン工場で行う。配送は1日2回で、できあがりから3時間以内に店舗へ届ける。当初は店内調理や個別に包装したままでの販売も検討したが、実験の結果、店内調理は手順が煩雑で、実現は難しいという結論に至った。また包装されたものより、ケースに並んだものの方が売れ行きはよく、こうした試行錯誤を1年以上続けたという。
専用ケースは富士電機とともに開発した。全店に導入するが、投資額は公表していない。ケースには最高で72個のドーナツが並べることができ、売れ行きの好調な店には、保管用の定温ケースを別途入れて対応する。
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