(第56回)採用活動の舞台がWebから大学キャンパスへと変貌の予感

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(第56回)採用活動の舞台がWebから大学キャンパスへと変貌の予感

HRプロ株式会社
 今回は、2012年卒採用での新たな取り組みについて紹介したい。

 企業は個性的な採用活動を行い、学生の共感を得たいと願っているはずだ。しかし、就職ナビ、採用ホームページ、入社案内を読むかぎり、デザインや文章の優劣はあるものの個性は感じられない。画一的で横並びだ。
 特に5年ほど前からのWeb依存は甚だしく、没個性化に拍車をかけた。一つひとつが個性的であっても、たくさんの企業を次々に見ることができるWebでは個性は埋没してしまう。また、学生も人事も、Webに依存する傾向が強かった。

 しかし、今年9月にHRプロが実施した人事アンケートを読むと、事情が少し違ってきたようだ。採用担当者がこれまでと異なる問題意識を持って、新しい採用手法を模索しているようである。

●ブログは有効そうだが、ツイッターの効果は不明。いずれも負荷は大きそう

図表1【2012年度の新卒採用活動において特に力を入れたい広報ツール・活動】

 上記グラフは「2012年度の新卒採用活動において特に力を入れたい広報ツール・活動」を問うたアンケート結果だ。「ツール」と「活動」を同時に質問したが、分けて見たほうが理解しやすい。

 まず「ツール」から。
 就職ナビ、採用ホームページが1、2位になっていることは当たり前。プレエントリーは就職ナビから行い、大手企業の中には採用ホームページからのエントリーしか受け付けないところもあるからだ。

 その他のツールは、軒並み低調だ。入社案内はこの数年は重要性が再評価されていたが、今回の調査では低い評価になった。セミナーで使われることが多いDVD・ビデオも低調。ただし、数は少ないが、新しいツールとしてブログやツイッターに注目したい。

 人事ブログは、志望度が高く企業を深く研究したい学生が読むはずだ。
 ツイッターについては採用に使われた事例がまだまだ少ないので、効果のほどはわからない。もしかすると一部の学生には効果的かもしれない。しかしツイッターで集まる学生が偏った特性ということも考えられる。
 これまでの採用活動では、事前に作ったツールを使っていたが、ブログもツイッターも継続して情報を発信しなければならない。ある程度の効果はありそうだが、書き込みを怠ると学生から評価されない。例年どおりの採用活動の負荷があるのに、書く時間があるのかないのか。そしてその労力に見合う効果があるのか。
 また、書く人間によって文章力は変わる。はたして学生に発信するレベルの文章を、人事が書き続けられるのかどうか。書ける企業と書けない企業がありそうだ。

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