(第57回)人事が下す学生への審判。「とりあえず」「手当たり次第」就活にいらだつも「嘘をつかないで」

(第57回)人事が下す学生への審判。「とりあえず」「手当たり次第」就活にいらだつも「嘘をつかないで」

HRプロ株式会社
 採用担当者が、「今どきの学生」をどう評価し、その就職活動にどのような感想を持っているのか。いろんな切り口があるが、学力については言い尽くされた感があるので今回は取り上げず、学生の就職活動に限って意見を聞いてみた。 辛口の意見は多いが、学生に対する温かみ、激励が感じられる意見も多い。単に採用担当者としての立場ではなく、社会人としての先輩が後輩を励ます口調も感じられる。人事の見識とはそうあるべきだ。

●下がっている能力は「コミュニケーション能力」と「前に踏み出す力」

図表1【最近の大学生の下がっていると思う能力】

 最初に確認しておきたいのは、人事が大学生の能力をどのように評価しているか、である。「下がっていると思う能力」を質問したところ、「コミュニケーション能力」「前に踏み出す力」の2つがともに53%でトップだ。3位は「社会常識」(46%)、4位は「基礎的な学力」(36%)、5位は「考え抜く力」(36%)。

 その後の順位は6位「目標達成指向」(31%)、7位「適応力」(29%)と続く。「チームで働く力」は15%だから、職場での適応性や協調性に関してはあまり問題はないようだ。

 「専攻学問の専門的な知識」は6%にすぎないが、そもそも人事が専攻に関して無関心であることが反映している可能性が高い。「基礎的な学力」の順位も低いが、一般学生の学力低下は大学側が認めていることなので、解釈が必要だ。応募学生のテスト結果ではなく、テスト選考を通過した学生で測っているのかもしれない。

●大学での専攻と企業の採用基準が分断されている

図表2【採用する大学生に求める能力】

 次に「採用する大学生に求める能力」についてのアンケート結果を紹介しよう。断トツは「コミュニケーション能力」(85%)。職場内でも顧客折衝でもコミュニケーションは必須だから、まずは「聞いて理解し話す」という基本動作が重視されるのは当然のことだ。

 2位は「前に踏み出す力」(61%)、3位は「社会常識」(50%)、4位「チームで働く力」(49%)、5位「基礎的な学力」(48%)。少し下がって6位「目標達成指向」(43%)、7位「考え抜く力」(42%)、8位「適応力」(42%)と続く。

 「専攻学問の専門的な知識」はわずか8%。日本では、大学で専攻した教科と企業の採用基準とが分断されていることがよくわかる。研究者になる者は別として、就職を希望する学生に対するカリキュラムに工夫が必要といえそうだ。大学のキャリア教育については次回に紹介する予定だ。

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