女性政治家は、本当に"名誉男性"なのか 第1回 「女子力」で地域の課題を解決

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さて、最大の政治勢力である自民党の女性地方議員は、女性の政治参画をどのように考えているのか。地方議会が注目される契機になった都議会のヤジ問題の件も含め、都議会自民党で初の女性幹事長に就任した村上英子さん(渋谷区選出)にインタビューを申し込んだ。

都議会自民党初の女性幹事長

かつて父も座った都議会自民党幹事長の椅子に座る村上さん。「福祉関係や社会的立場の弱い方からお手紙を多くいただくようになった」と語る(筆者撮影)

「幼い頃は電信柱にも頭を下げろという時代。政治家の娘として地域の視線を受けていた」

父は都議会議長や渋谷区長を歴任した小倉基氏。一般的に、地盤、カンバンを引き継ぐ二世議員は批判をされることが多い。しかし、だからといって簡単に政治家が務まるわけではない。

村上さんは20代早くに結婚。家事や子育てと両立しながら、父を秘書として支えてきただけに「女性は家庭を守っていく感覚があったので、政治家になるつもりはなかった」と話す。しかし父の政界引退後、選挙区事情により、2003年の都議補選に出馬して初当選。政治家の道を歩んだ後も家事は極力こなしてきた。「さすがに幹事長就任後は同居の娘に頼ることも増えましたが、家族の理解あっての議員生活」と感謝を口にする。

古風なバックボーンを持つ村上さん。政治家の仕事の中身について「男女差はない」と言い切る。ただ、初当選時には都議会の女性トイレが議場近くは1つしかない、厳然たる男社会の「現実」も感じ、改善を訴えてきた。

ヤジ問題で会派は社会的批判を浴びた。他党の都議は、村上さんの幹事長就任について「女性登用でイメージを変えるのが狙いではないか」と冷ややかな見方を示す。村上さん自身は、同僚の男性議員が塩村文夏都議(みんなの党)に対し、「早く結婚した方がいいんじゃないか」などとヤジを飛ばした場面は議場に居合わせていなかったが、「発言はとても残念。申し訳ない気持ちでいっぱいです」と率直に陳謝する。ヤジが出た理由を尋ねると「ある年齢以上の先生はセクハラやパワハラの教育を受けていない」と世代間の意識差を指摘する。

「私たちは言葉に責任を持っている」と村上さん。男性議員から「こんな一言でもセクハラになるのか?」と尋ねられるなど、「個々の意識が変わってきたことを実感する」と強調する。自民党のオジサン議員たちを変えられるかこれから手腕が問われる。

主婦目線?地方議会の「女子力」とは

日本の地方議会の女性議員は11.4%しかいない(2012年、総務省調べ)。最も高い東京23区議会でも25.7%にとどまり、4割近い町村議会に至ってはゼロ(国政も、衆院の8%は先進国の下院で最低だった=14年1月)。海外の地方議会と比較すると、米国の州議会は2003年時点で2割を超え、スウェーデンでは女性議員が半数の市議会もある。

米国の州議会を対象にした研究(スー・トーマス氏「女性はどのように立法をするのか」)では、女性議員の多い州では、女性や家族、子ども関連の法案が多く提出される傾向が指摘されているが、日本の地方議会でも同じような効果があるのだろうか。

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