来年度(2015年度)予算案策定に向け、詰めの議論が進んでいる。財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会の財政制度分科会では、来年度予算の方向性について毎年、財務大臣に建議を提出している。その建議の取りまとめに向け、目下議論を進めている。
10月27日開催された財政制度分科会の会合では、私も委員として出席し、年金・生活保護・障害福祉と、文教の予算について、来年度予算で焦点となるテーマについて議論が行われた。
その中で、各種報道でも話題になったのが、2011年度から導入されている35人学級を、従来の40人学級に戻してはどうかという提案である。
「35人学級を40人学級へ」議論の背景にあるもの
これだけだと、あたかも目先の財政難を理由に学校教育を切り詰めようとしているかのように見えるかもしれない。学校教育は子どもの未来への投資なのに、それをおろそかにするのはけしからん、という意見も出ているようだ。
ちょっと待って欲しい。表層的な見出しだけヒートアップしてけしからん、と言っても建設的ではない。その議論の背景を知った上で、この提案の是非を考えて頂きたい。わが国の学校教育をめぐる仕組みを深く理解した上で、よりよい方策を考えてこそ、子どもの未来のためにもなる。私も教育者の一人として、教育の重要性は身に染みてよくわかる。
そもそも、35人学級(厳密にいうと35人以下学級)は、当時の民主党政権の意向も受けて、2011年度に全国の公立小学校1年生で導入された。この人数は、学級編制の標準として国の法令で定めている。それまでは、公立小中学校は全学年40人学級だった。国の標準はそうなのだが、各都道府県で独自の取り組みによって、40人学級を廃し、40人より少ない人数の学級編成を行っているところもある。
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