北朝鮮、日本企業を歓迎するもう1つの顔 平壌の大規模見本市に押し寄せる市民
ずらりと並んだ出店企業のブースに、市民たちの人だかり──。9月22日から3日間、北朝鮮の首都・平壌で開催された、「平壌秋季国際商品展覧会」を訪れた。多くの平壌市民が押し寄せる光景は、東京など世界で開催されている展示会とまったく変わりがない。
「国家から公式に許可された先端情報技術製品」「中朝合弁の丈夫な商業車」をうたい文句に製品を展示する企業もあれば、「3日後に美顔に!」「美白効果が5倍に!」と声を出す化粧品や医薬品のメーカーもあった。特に化粧品や健康食品・器具、医薬品企業のブースには、多くの女性たちがドルや人民元の紙幣を手に押し寄せ、20~30ドルの買い物をしていた。
北朝鮮メディアの報道によれば、今回の展覧会には約20カ国、300社ほどが参加したという。実際には中国企業の数がとても多いという印象だったが、参加企業の数はほぼ正確なように思えた。
「経済」で海外と接触を
この展覧会は毎年春(5月)と秋(9月)の年2回開催される大規模見本市で、秋は今回で10回目。北朝鮮企業や中朝合弁企業も参加している。数年ぶりに展覧会を訪れた環日本海経済研究所(新潟市)調査研究部の三村光弘部長は、「商品を即売できるような企業の参加が増え、設備やプラントなどの企業は減ったようだ」と指摘する。
また三村部長は「展覧会というより即売会。購買力を持つ北朝鮮国民が競って足を運んでいるのを見ると、商品経済の拡大を感じる」と語る。
現在150カ国ほどと国交を持つ北朝鮮だが、核実験やミサイル発射に対しての国連を中心とした経済制裁は、まだ続いている。そのため、大規模なインフラ事業など、国家的プロジェクトを担う企業が北朝鮮でのビジネスを公にするのは難しい。「そういった企業は展覧会には参加せず、B2Bで商談を進めているのではないか」(三村部長)。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら