コメからつくる新食材は奇跡を起こせるか 「コメネピュレ」に官民が熱視線
「秋田県産のあきたこまちが5キログラムで1463円」「新潟県産のコシヒカリは同1790円」(いずれも本体価格)
コメの価格が大幅に下落している。スーパーの店頭に並び始めた2014年産の新米の価格は、銘柄にもよるが「昨年より2~3割安いことは珍しくない」(大手コメ卸幹部)。今年のコメの生産量は昨年よりむしろ減っている。それでも価格が下がるのは、昨年からの在庫がだぶついているからだ。
根本的な理由としては、コメ需要の長期減少がある。2013年度国民1人当たりのコメの消費量は56.9キログラムと、この50年間でおよそ半減した。
コメ版の「ピューレ」
コメ需要をどう拡大するか。その切り札として官民から注目を浴びる存在がある。ピューレ。野菜や果実をすりつぶし、裏ごしした汁を煮詰めた食材で、一般的にはトマト・ピューレになじみがあるかもしれない。そのコメ版だ。
10月13日、横浜市元町。地元発祥の焼きたてパン店「ポンパドウル」で、ある食パンの販売が始まった。「おコメ食パン」。価格は1斤420円(本体価格)。「皮は香ばしく、中はしっとり」が売り文句だ。10月28日にはポンパドウル全店に販売網を広げる。
秘訣はコメのピューレにある。コメの持つ味や栄養価をそのままピューレにしてパンに配合。ピューレには保水力と酸化防止作用があり、しっとりとしたパンの食感を保つことができる。さらにピューレの持つ乳化作用によって、パンに混入していた一部添加物が不要になり、健康志向にもマッチする。
記者も試食してみたが、しっとりしてモチモチしていた。これまでの米粉パンとはまったく違う味・食感だ。
このコメピューレを開発したのが、ネピュレ社(本社:東京都中央区、加納勉社長)。ネピュレはネクスト・ピューレの略。素材本来の味や栄養を維持しながら、完全無添加でピューレ状にする。食品の酸化を防ぐために300℃の無酸素で過熱蒸気処理する技術、さらに素材の細胞を残したまま、加水することなくピューレ状にする遠心分離技術。これら2つを組み合わせて新食材、その名も「コメネピュレ」を実現した。
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