本の読み方ひとつで、子どもは変わる!

菅谷明子さんに聞く「読み方」「学び方」

広告というのは、企業が特定のメディアの枠をおカネで買い取り、そこを使って100%自分たちが言いたいことを一方的に伝える、いわば偏りのある情報です。新聞一面全部を使った対談形式の記事があり、隅に「広告」と小さく書かれた記事も目にしますが、これも記事広告と言って立派な広告です。記事、広告、記事広告……。それぞれの背景や特性への理解が求められるはずですが、皆さんは普段どこまで意識されていらっしゃるでしょうか。

私は現在、米東海岸ボストンの対岸でハーバード大学とマサチューセッツ工科大学(MIT)が拠点を置く大学街で、9歳と7歳の娘の子育てをしながら暮らしています。ここは世界中からさまざまな能力を持つ人々が集まって来ますが、そうした人たちとの付き合いや子どもの学校での学びを通じて、日本では思考力、多角的なものの見方、共感力、柔軟性をもっと育まなければならないのではないかと痛感します。

子どもの思考力を養うために、家庭でできることはたくさんあると思います。親子でコミュニケーションする時間は長いですから、親も思考力を身に付けていくことが大事です。

9歳娘の担任に指摘された「本の読み方」

最近、小学校3年生の娘の担任との面談で、娘の本の読み方について指摘されました。いわく「お嬢さんの読書は、登場人物や場面が自分の考え方や境遇と近いことに共通項を見いだして読んだり、内容に共感するだけにとどまっています。こういう読み方をしていると、せっかくの新しい学びの機会を生かせない」と言われたのです。

では、どのように改善したらいいかと聞いたところ、「読書の目的は、自分がまったく体験したことのないことや、持ったことのない感情に触れることで、思考や共感の幅を広げていくことです」と。

読み方についての先生の言葉は衝撃的だったのと同時に、学びについて多くを考えさせられました。私は今まで『メディア・リテラシー』という本の調査で各国の「国語」の授業を取材し、子どもたちがどのようにして批判的思考を獲得していくのか、そのためにメディアをどのように読み解き、使いこなしていくかを理解していたつもりでいました。でも、本の読み方ひとつとっても、日本とは随分異なっていますし、読書を通して思考力や共感力は養えるのだと再認識させられました。

ソーシャルメディア時代になり、フェイスブックで「いいね!」を押すように、自分の価値観に合う情報だけに触れることが容易になりました。でも、好きなもの、耳触りのよいものだけでは、世界が広がらないですし、学びが限られてしまうということです。

日米で違う、子どもに与える本の内容

次に、共感力についてです。私は、ハーバード大学のジャーナリズム組織で役員をしているのですが、大学にいて感じるのは、リーダーほど共感力が高いだけにとどまらず、社会貢献意識を伴って行動する傾向があるということです。たとえば、個人的には貧困を経験していなくても、貧困に対して自分は何ができるのか考え、具体的な行動を起こすといった具合です。

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