【産業天気図・家電・AV】活況から一転、円高が重し、海外勢の攻勢も厳しく

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 一方で、グローバルの競合メーカーの攻勢も厳しい。サムスンはリーマン・ショック直後のウォン安に勢いを得て、欧米主要市場やアフリカ各国などの新興市場で価格訴求による販売拡大を進めている。足元ではウォン安は一段落しつつあるが、製品市場でシェア上位を維持したまま。二次電池などの市場でもシェア拡大の局面にある。また、アップルもiPhoneやiPadといった製品で、スマートフォンや電子書籍の市場を席巻している。

こういった中、国内の家電各社にとっては今期後半から来期にかけての業績展望が不透明になっている。大幅な円安が当面見込みにくいこと、海外市場の開拓が急務であることを考えると、開発・生産拠点のもう一段の海外移管も検討必至だろう。シャープが中国・南京市で進める液晶パネル開発・生産合弁などはその典型例だ。こういった経営資源の再配置で、一時的に特別損失などが発生する可能性もある。

また一方で、アジア勢との価格競争が進む既存分野にとどまり続けず、付加価値の高い新規分野での先行投資も求められる。家電産業にとっては、難しい経営判断が求められる時期になりそうだ。
(杉本 りうこ 写真:梅谷秀司 =東洋経済オンライン)

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