即断即決で消費!「若者の財布」が今狙われている 新成人に伝えたい「お金の使い方」の本質

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各方面から「若者の財布」が狙われています。大人としてできることとは?(写真:Ushico / PIXTA)

ご存じのように、2022年の4月1日から成年年齢が18歳に引き下げられる。年齢の見直しは明治9(1876)年以来なんと約140年ぶりだそうだ。

成年になると、親権が及ばなくなり、単独で契約を締結することができる。とはいえ、18歳ではまだ親に扶養されている子がほとんどだろう。自分の稼ぎで生計を維持していなくても一人前なのか?と、ピンとこないが決まりは決まりだ。

危惧されているのが、「収入もないのに高額な契約を交わして、解約できなくなるのでは」というケースだろう。未成年であれば、親(法定代理人)の同意を得ずにした契約は、民法第5条によるところの「未成年者取消権」で取り消すことができる。しかし、4月1日からは「大人」として扱われ、それができなくなってしまう。そのため、18歳の新成人たちが消費トラブルに巻き込まれるのではと懸念されているのだ。

トラブルに巻き込まれる10代20代

18歳に限らず、国民生活センターの相談事例を見ると、トラブルに巻き込まれている10代20代の若者は多い。大きく注意喚起されているのが「脱毛エステ」への相談で、年間2800件を超える相談が寄せられているという。女性ばかりではない。最近ではヒゲ脱毛のトラブルも多く、男性からの相談が急増しているとか。

脱毛エステに関しては「中途解約できない」「解約後も支払いが発生」という事例が多い。他には、「必ず儲かると聞いて高額な情報商材を買ってしまった10代」「ローンを組んで暗号資産の契約をしたが、説明と違って配当が受け取れない20代」など、今の時代らしいトラブルも。

こうした例を見ると、確かに若者たちが心配だ。先の国民生活センターでは「簡単に儲かるうまい話はありません」「契約をする前に、その内容をきちんと読みましょう」「借金をしてまで高額な契約をしてはいけません」等々の注意喚起がされており、成年になる若者にはぜひ肝に銘じてもらいたいが、大人だってこれができていない人は多い。

子どもたちに胸を張って、「正しいお金の使い方」を教えられるだろうか。いや、そもそも正しいお金の使い方とは何だろう。もし自分に18歳の子どもがいたら、何を伝えればいいのか。

次ページ原理原則は「払えないものは買わない」だが…
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