ジャパンディスプレイ、株式市場で大顰蹙 またもや下方修正・・・最終赤字、工場閉鎖
増益予想が一転、最終赤字に――。
10月15日、2015年3月期決算見通しを下方修正し、100億円の最終赤字に陥ると発表した中小型液晶パネル世界最大手、ジャパンディスプレイ(以下、JDI)。翌16日は株価が上場来安値を更新し、ストップ安で取引を終えるなど、株式市場の波乱材料となった。
JDIが今年3月の上場後、業績予想の下方修正をするのは2度目。1度目は今年4月、2014年3月期の決算見通しを従来予想から引き下げたときだ。上場後わずか1カ月後の修正だっただけに、投資家の間で成長への懸念が広がり、株価低迷が長引いた経緯がある。
そして今回、15年3月期の営業利益を従来予想の400億円から、65億円へと大幅修正。前期が営業利益276億円だったため、一転、減益見通しとなる。最終損益は埼玉・深谷工場の売却に伴う特別損失70億円がかさみ、100億円の赤字予想に転落(前期は黒字339億円)。投資家離れに拍車をかけてしまった格好だ。
JDIを襲った”三重苦”
今回の下方修正の理由は大きく3つある。
第一は今秋発売された、米アップル「アイフォーン6」向け液晶パネルの生産の遅れ。アイフォーン向けパネルはJDIに加え、シャープ、韓国LGディスプレイの3社が寡占供給している。いずれもガラス基板やバックライトといった部材を購入し、液晶パネルに組み立てているが、そのうちバックライトのメーカーの一社に生産の不具合が発生。これに伴うサプライチェーン(供給網)の乱れで、液晶パネル生産が停滞し、JDIにとっては通期業績のマイナス要因となった。
とはいえ、アイフォーン6向けの生産の遅延は、すでに今年8月に発表した第1四半期決算の時点で影響が出ていたもの。当時は通期計画の下方修正を見送ったものの、通期への影響も予想されていた。つまり”想定内”のマイナス要因であったといえる。
第二は、今回”想定外”のマイナス要因となった、韓国サムスン電子やソニーなど、アップル以外の大手スマートフォンメーカー向けのパネル出荷の減少だ。サムスン、ソニーともに、今期は中国など新興国の現地メーカーの台頭に押され、スマホ出荷が減速。「(ソニーなど)大手グローバルメーカー向けは好採算の製品構成であるため、利益へのマイナスインパクトが大きかった」(JDI)という。
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