ジャパンディスプレイ、株式市場で大顰蹙 またもや下方修正・・・最終赤字、工場閉鎖
さらに第三として、やはり”想定外”のマイナス要因になったのが、中国の現地スマホメーカー向けパネル生産の伸びの遅れだ。JDIは小米(シャオミ)、ZTEなど、台頭著しい中国の現地メーカー向けパネルも供給している。これら中国メーカーは、高価格帯品では「フルHD」(1080×1920画素)と呼ばれる高解像度のパネルを採用しており、同様の高精細パネルに強みを持つJDIは需要開拓に奔走。こうしたハイエンド品の需要増を見込み、中国向け売上高を2014年度1800億円(前期比2.7倍)と見込むなど、強気の計画を立てていた。
しかし実際には、「想定ほどハイエンド製品の売り上げは伸びなかった」(JDI)。むしろ需要が膨らんだのは中・低価格帯。JDI側はあくまで、「タイミングが後ろにずれただけで、ハイエンド品の需要増のトレンドは変わらない」と一時的要因との姿勢を貫く。しかし、2度目の下方修正となったこともあり、市場では成長シナリオに疑問符が付き、株価急落につながった格好だ。
ただ、中国では普及が広がる中価格帯の製品でも、今後はフルHDなど高精細パネルの採用が増えるとの見方が強く、JDIが見込む高精細パネルの需要増のシナリオは的外れとは言えない。むしろ業界では、別に懸念されている問題がある。JDI側の供給サイドの問題である。
最新鋭の千葉・茂原工場の稼働は?
「(JDIの)茂原工場の第6世代の生産ラインは、立ち上げが遅れているのではないか」。液晶パネル業界では今、こんな見方が浮上している。千葉・茂原工場はJDIが誇る最先端のパネル工場。中でも2013年に新設した生産ラインでは、第6世代(1500ミリ×1850ミリ)というJDIの工場では最大のガラスサイズから、「LTPS」(低温ポリシリコン)と呼ばれる材料を用いた高精細パネルを生産できる。
JDIは新ラインを今夏にもフル稼働に持っていく構えだったが、足元では「フル稼働は来年の年明けくらい」(同社)と遅れている。JDI側は工場の供給サイドの問題については否定し、あくまで需要側に問題があるためと強調するが、「顧客が発注した量の生産が追い付いておらず、JDIは注文を逃している」(業界関係者)との声もある。
さらにJDIは今回、埼玉・深谷工場を16年春に閉鎖することを、あわせて発表。同工場は第3世代という小サイズのガラスからしか液晶パネルを作れず、生産が非効率だった。閉鎖によって運営費や減価償却費など、年間計70億円の固定費削減を見込む。いわば、来るべき高精細パネルの本格需要増に備え、生産体制を整えた格好だが、仮に、残る茂原工場の供給サイドに問題が起きていた場合、そこから成長シナリオは大きく狂いかねない。
2度失った信頼は本当に取り戻せるのか――。JDIの正念場はこれからだ。
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