「ジャパン・クライシス」が迫っている アベノミクスには出口がない!

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橋爪大三郎・東京工業大学名誉教授(右)と小林慶一郎・慶応大学経済学部教授(左)
橋爪大三郎・東京工業大学名誉教授と小林慶一郎・慶応大学経済学部教授の対談をまとめた『ジャパン・クライシス』が10月16日に発売となった。この書籍は、2013年秋に行った対談を元にまとめたもの。言うまでも無く、経済情勢の変化は激しい。そこで昨今のトピックスを踏まえた「延長戦」を展開してもらった。書籍と合わせてお読みいただければと思う。

――お二人のご専門は経済学、社会学と分野が異なるわけですが、共通して日本経済の将来を憂慮されています。お二人にまず伺いたいのですが、アベノミクスをどうご覧になっていますでしょうか。

小林:結論的に言ってしまえば、昨年はうまくいきましたが今年に入って停滞している感じです。

少なくとも2013年は、かなり早いスピードで円安が進み、株価もかなり改善され、それに連動して消費も増えました。

今のところ日本経済は、いい方向に行っている

――今年4月から消費税率が8%になりました。それによって消費が予想外に冷え込んでいますが、この点については、いかがですか?

画像をクリックすると筑摩書房の当該書籍紹介ページにジャンプします

小林:7月ぐらいから回復すると言われていたのが、8月になっても回復していないというデータがあります。ですが、いずれ回復する可能性が高い。その裏付けとなる指標の一つが、失業率の低下です。8月30日時点で完全失業率は3.5%で、就業者数は20カ月連続で増加。実際、建設業をはじめ、いろんな業界で人手不足が生じています。

もうひとつは、設備投資計画についてのデータです。これを見るとプラスとなっていますので、今後も円安が続いていく、あるいは需要が増えていくと企業が予想していることが分かります。

ですから、停滞感は出ているものの、今のところ日本経済は、いい方向に行っていると言えるのではないでしょうか。

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