9月29日に、政府税制調査会(政府税調)の第11回総会が開催され、一委員として出席した。今秋の政府税調の主要議題は、配偶者控除をはじめとする所得税制となりそうだ。
配偶者控除と、配偶者特別控除の議論とは?
配偶者控除は、現在、夫に扶養されている妻の給与収入が年間103万円以下ならば、夫が稼いだ所得から38万円を差し引くことで、その分「課税対象となる所得」(課税所得)が少なくなる形で、夫の所得税負担を軽減する仕組みである。約1400万人がその適用を受けている。ただ、これが女性の就業を妨げているとの見方があり、今春から、政府税調でも議論が重ねられてきた。
その議論の中で、共働き世帯と専業主婦世帯とを問わず、夫婦2人に適用される控除の合計額を同じにする案などが出された。そもそも、所得を稼ぐ本人には、基礎控除として38万円を所得から差し引く仕組みがある。共稼ぎ世帯なら、夫も妻も所得を稼ぐ本人に1人38万円、合計76万円の基礎控除が適用される。専業主婦世帯なら、夫の基礎控除が38万円と配偶者控除が38万円の合計76万円の控除が適用される。これなら、どちらも同じ控除額になっている。
しかし、専業主婦世帯で、妻の給与収入が年間103万円を超えると、たちまち配偶者控除がゼロになってしまうと、妻の給与収入が103万円の人と、104万円の人では、夫婦合計の課税後所得が逆転してしまう現象が起きてしまう。そこで、妻の給与収入が103万円超から141万円までの人には、配偶者特別控除が設けられ、控除額が緩やかに減少していくことで、課税前所得と課税後所得の逆転現象が起こらないようにしている。
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