「五輪での日本選手活躍と株価」の関係が深いワケ 北京五輪直前!投資も気分の影響を受ける

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ここでもう1つの検証結果を紹介しましょう。広く一般にウインタースポーツ関連企業とされる9社(図2の注2)の株式投資収益率を観察すると、メダル獲得総数が多い五輪“直後”のパフォーマンスが特に良い傾向がわかります。

五輪終了から1週間、ウインタースポーツ関連9社の株式投資収益率を平均したのですが、図2では日経平均株価の騰落率の超過の部分を見ています。これは株式市場全体と比べてウインタースポーツ関連の株価が、より上昇してきたかを見ることができるからです。また五輪“直後(1週間)”を観察した理由は、日本人選手の活躍がウインタースポーツ関連企業に五輪期間だけでなくその後も持続して株高と関係するのかを見るためです。

ウインタースポーツ関連企業の株価も変化

結果から、メダルが1つしか獲得できなかった2006年のトリノ冬季五輪以外は超過株式収益率がプラスでした。日本人選手の活躍が目立たないと、ウインタースポーツ関連企業の株価は五輪期間後に低調となります。一方、2018年のピョンチャンで日本人選手はメダル獲得が13個と活躍するなか、開催後の1週間はウインタースポーツ関連企業が平均して0.6%と日経平均株価を超過して上昇しました。

皆さんの応援を通じて、北京冬季五輪での日本人選手の活躍は、株式市場にもプラスに働き、ウインタースポーツ関連にも期待がかかります。皆さんの応援が経済をプラス方向に変えるキッカケとなるのかもしれません。

吉野 貴晶 ニッセイアセットマネジメント 投資工学開発センター長

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よしの たかあき / Takaaki Yoshino

金融情報誌「日経ヴェリタス」アナリストランキングのクオンツ部門で、記録的となる16年連続で1位を獲得した後、ニッセイアセットマネジメントに入社。大学共同利用機関法人 統計数理研究所のリスク解析戦略研究センターで客員教授を兼任。青山学院大学大学院国際マネジメント研究科(MBAコース)で経営戦略、企業評価とポートフォリオマネジメントの授業の教鞭も取る。代表的な著書に『No.1アナリストがプロに教えている株の講義』(東洋経済新報社、2017年) 。

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