「五輪での日本選手活躍と株価」の関係が深いワケ 北京五輪直前!投資も気分の影響を受ける

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うちメダルが“1つも獲得できなかったか、それとも1つだけ”と、日本人選手の活躍が目立たなかった合計10回の五輪期間の日経平均株価の騰落率を平均すると0.06%下落しました(図1中の□)。また対象となる五輪期間のうち、日経平均株価が上昇した五輪期間の割合(勝率)も40%に過ぎません。

一方、メダル獲得数が8個以上と日本人選手が活躍した五輪期間で平均すると1.12%上昇しました(図1中の〇)。勝率も67%と3回中に2回は上昇しています。

夏季五輪でも調べてみました。夏季は冬季に比べて3倍以上の競技種目数になります。そのため獲得できるメダルのチャンスも多くなるのですが、そのなかで獲得メダル総数が30個以上だったのは昨年の東京五輪を含めて5回でした。その5回すべての五輪期間で株価は上昇しました。平均騰落率も2.6%と高い水準です。日本人選手が活躍してメダル獲得が多いと株高という傾向がわかります。

「人間の気持ちを左右する物事」は株価の動きも左右

なぜ“日本人選手が活躍すると株価が上がる”のでしょうか。こうした研究の根底には「行動経済学」という学問があります。2017年にシカゴ大学の行動経済学の権威、リチャード・セイラー教授がノーベル経済学賞を受賞したことで、大きな注目を集めています。では行動経済学とはどのようなものでしょうか。株価と一見、関係がなさそうでも、人間の気持ちを左右する物事は株価の動きも左右するという研究です。平たく言うと、人間の行動は、その時の気分に左右されます。ですので、株式を買ったりする投資も気分の影響を受けてしまうということです。

行動経済学はこれまでわが国でも研究が進んできました。日本の経済や経営財務の分野で最も権威がある学会の1つに日本ファイナンス学会があります。2004年に、その学会から注目の論文が発表されました。「天気晴朗ならば株高し」という論題のものです。内容をかいつまんで言うと「晴れの日の株価は高く、曇りの日の株価は安い」というものです。研究結果では、東京が曇っていて天気が悪いときの日経平均株価の日次の騰落率を平均すると-0.018%と下落となりますが、雲が少ない晴天のときは0.087%と上昇しました。

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