「追加接種」ファイザーとモデルナどちらが正解? 各社が開発急ぐ「オミクロンワクチン」の是非

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現時点でのオミクロン株への最善策は「追加接種」です。写真は千葉大学病院でのブースター接種の様子(写真:ブルームバーグ)

南アフリカ共和国から広がった「オミクロン株」が、新型コロナウイルス変異株の勢力地図を塗り替えようとしている。日本国内でも市中感染が報告され始めた。

一番の気がかりは、ワクチンの効果の低下や、接種を完了していても防ぎきれない「ブレイクスルー感染」だ。

同じワクチンの「追加接種」に意味はある?

現時点での最善策は「追加接種」――というのが世界の共通認識だ。イスラエルは世界に先駆け、4カ月間隔で4回目接種の実施を発表した(12月22日AFP通信)

「同じようなワクチンを繰り返し打つだけで意味があるの?」と思う人もいるかもしれない。しかし最新研究を見る限り、ファイザー製もモデルナ製も、3回接種を受ければオミクロン株にもギリギリ対抗できそうだ。

ファイザーについては12月14日、イスラエルの共同研究の成果が示された(査読前論文「medRxiv」)。ファイザー2回目接種から5~6カ月経った人の血液では、オミクロン株に対する十分な「中和抗体価」(無力化し予防する能力)は確認できなかった。

それが3回目接種で100倍に回復。デルタ株への効果に比べれば4分の1にとどまるが、それでも十分との見方だ。

モデルナ製についても12月15日、研究結果が公表された(査読前論文「medRxiv」)。やはり2回接種者の血液では、オミクロン株の中和能力は従来株と比べて1/84~1/49と、大幅に減少した。

3回目接種後はワクチン半量だったが、従来株比1/6.5~1/4.2で踏ん張り、減少スピードも緩やかで、十分と判断された。

つまりモデルナの3回目接種では、ワクチンの量が半分で済む。同社ワクチンは「モデルナアーム」(2週間後に接種部位に現れる局所的な炎症。T細胞の反応とされる)が起きやすいことも指摘されてきた。半量だとこうした副反応もマイルドになると期待できる。

問題は、追加接種の時期と、ファイザー製 or モデルナ製の選択だ。

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