隠れたネットの巨人、リクルートのジレンマ

迫り来る「破壊的イノベーション」への危機感

2014年現在、最新のメディア別売上構成比は非公表だが、スマートフォンの利用者が拡大している状況を踏まえると、ネット・モバイル比率は少なくとも50%に達していると推測できる。2014年3月期のリクルートのリクナビなどの人材メディア事業、SUUMOやゼクシィなどの販促メディア事業合計の売上高は約5892億円に上る。そのうち、ネット比率を5割とすると、ネット事業は売り上げにして約2900億円を超す規模に成長していると推定できる(なお、サイバーエージェントの2013年9月期の連結売上高は約1625億円。DeNAの2014年3月期の連結売上高は約1813億円)。

世間一般、新聞などのメディアでは、リクルートは情報誌を発行したり、リアルの現場営業に強いイメージがいまだ根強い。ネット化に遅れていると思われているフシさえある。しかし実際は、世間をにぎわせているネット専業企業と同等以上の規模にまでネット事業を拡大しているのだ。

ネット事業で稼いでいるにもかかわらず、世間一般の評価とズレが生じているのはなぜか。かつてのブランドイメージの壁を越えられていないことが理由のひとつにある。

コンビニや書店で目にする、ブライダル情報『ゼクシィ』、旅行情報『じゃらん』などのおなじみのリクルートの情報誌から、リクルートは出版業ととらえられることもある。体育会系営業主体の会社だと思われることもいまだ多い。

あまりに大きな過去の成功が、新たな実績を曇らせている。まさに隠れたネットの巨人と言える。

なぜリクルートは紙とネットの融合に成功したのか

今、出版社、新聞社とも販売・発行部数は右肩下がり。たとえば、雑誌の販売金額は16年連続で減少している。そこを打壊するために、出版社、新聞社をはじめとした多くのオールドメディア企業が、ネット化に挑戦し、苦しんでいる。その中で、なぜリクルートは紙からネット事業への転換に成功できたのか。ネット専業企業に匹敵するほどの事業規模に拡大できたのか。

これらの謎を解き明かす前に、リクルートの主要事業のビジネスモデルを押さえておく必要がある。

リクルートのビジネスモデルは「リボン図」で説明できる。

このリボン図では、左側をカスタマー、右側をクライアントとみる。カスタマーとは、リクルートのメディアを見る個人。つまり仕事や住宅、飲食店、結婚式場などを探している一般の人だ。それに対し、クライアントとは、求人募集をしている企業、不動産、飲食店、結婚式場といった事業者だ。

この両者の間に立ち、自社メディアなどを使って結び付けるのが、リクルートのビジネスモデルである。

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